「っ……、彩綾ちゃんが…。」


恐れていたことが起きた。

彩綾ちゃんが自殺した。

偶然じゃない。

あたしたちは知っている…。

きっときっと、これはぶーちゃん…愛香が陰にいる。


「………やっぱり、公開した方がいいと思う。あの写真。」


あたしは、歯を食いしばって、麗華姫に言った。

麗華姫は、彩綾の両親から彩綾の死を聞いて、俯いている。

麗華姫の様子が、普段と違う。

何か、違和感がある。



「彩綾……。」



ぼそっと、麗華姫が呟いた。



「どう……して…。」



心なしか、麗華姫の顔がいつもより白かった。


「やっぱり……絶対。」


麗華姫が一点を凝視して何かを呟いている。



「あたしが…あそこに居たのに…。」



そこまで言うと、麗華姫は顔を上げた。



「ななみん。」

「っ……はい」



突然呼ばれて、動揺する私。



「あの写真は、撒かない。」



麗華姫がキッパリと言った。



「え…?」



聞き間違いかと思った。

あの写真は、最後の切り札。

それを、なぜそんなに早く手放すの…?



「どうしてっ……!」

「うるさいっ!!!」



一気に目が吊り上がった麗華姫が、あたしの頬を叩いた。

パンっと大きな音が鳴り、ワンテンポ遅れて、鋭い痛みが走る。