「なっ…!」
愛香がギョッと目を見開いてあたしを見る。
その、当惑した表情を見ることができたのも、一瞬だった。
宙に舞うあたし。
あたしの体は、加速しながら落ちてゆく。
「きゃああああああ!!!!」
絶叫する。
怖い、怖い、怖い…!!
自分で選んだ道だけど、怖い。
死ぬのが、怖い。
でも、この死が無駄じゃないことを願っている。
裏切られてしまったけど…。
大好きなの、麗華姫、あなたが。
諦めきれない。
好き、恋焦がれている。
だから…、生きてほしい。
この狂った復讐を破壊して、生きてほしい。
あたしが死ぬことで、愛香たちが油断してくれれば……。
麗華姫がどうにかしてくれると、信じている。
もう、あたしは未来を見ることはできないだろう。
あと数秒で命は消えるだろう。
愛香…。
あんたの復讐は、成功だよ。
でも、これで終わらせないから。
あんたも、道連れにしてやる。
一緒に地獄へ堕ちろ。
あたしの手には、しっかりとスマホが握られている。
フェイクのスマホを。
迫ってくる硬いアスファルトで、叩き割ってやる。
データも全部破壊してやる。
信じているがいい。
あたしと一緒にあんたの情報も消えたって。
でも、そんなことないから。
地獄を見るがいい!
この復讐を、破壊してやる。
あたしは、頭からアスファルトにぐんぐん近づいていく。
あたしの目から涙が出る。
それは、すぐに空中に散って、消えた。
「っ……。」
もう、全てを終わらせよう。