柑奈が八神さんを蹴飛ばす。

机をいくつか倒しながら八神さんは倒れる。


そこを、柑奈は蹴りつける。

脇腹を蹴り上げ、八神さんは抵抗できずに横たわる。



「でしゃばってんじゃねーよ、モブが!!」




柑奈はそれだけ言うと麗華たちと教室を出ていった。



「ひどいね……」



のろのろと制服を着る八神さんを見ながら、百合香が言った。


「うん、ひどいよね…なんで、あんなことができるんだろう…」


あたしも、胸を痛めて言った。




なんで、人ってそんなに薄情になれるの…?

なんで、人ってそんな醜いことができるの…?




でも、これを見て、何も言えない自分も、同じくらい、


醜いんだろうな…





体育はバスケ。

八神さんは他のクラスに頼み込んで、体操着を貸してもらったらしい。

このクラスの女子で、運動神経が良いのは、麗華と八神さん。

八神さんの方は、男子顔負けの運動神経の良さだった。


バンバン

ダンッ!


バスケの6号のボールが床に打ちつけられる音が響く。

足の速い八神さんがサッとディフェンスを避けながら、華麗なレイアップシュートを決める。



その時、




バシッ!!!





強烈な球が八神さんの顔面に当たる。