「あ〜!彩綾、こっちだよ!」


ななみんと麗華姫は先に来ていて、座っていた。



「あ、うん!」



あたしたちはドリンクバーを頼み、座った。

ななみんはメロンソーダ、麗華姫はグレープソーダ、あたしはコーラを注ぐ。



「おいしー。」



走ってきて熱った体に、コーラの冷たさがおいしい。

しばらくして、麗華姫が口を開いた。



「ねえ、二人とも、気づいているよね。」



わたしとななみんがぴたりと止まる。


はて…

なんのことだろう…。



「え?分からないの?バカだね。」



なんみんの頬が僅かに引き攣る。

麗華姫の「バカだね」は、友達同士のじゃれあいなんかじゃない。

本気の「バカだね」だ。

そこにふざけた要素は全く入っていない。

本当にバカだと思っているんだ。


そう、いじめっ子がいじめられっ子を罵倒する時と同じかんじ。


麗華姫は、イジメをふざけてやっているわけではない。

本気で面白がってやっている。

あたしたちの中で、ある意味一番狂っている。


麗華姫は、暴力も、暴言も、全部本気。

本気でいじめられっ子を追い詰める。

だから、いじめられっ子が死んでも、なんとも思わない。



…麗華姫との付き合いが一番長いあたしは、知っている。