あたしは、すぐにクローゼットを覗いた。

うちの家は、まあまあ裕福な方だから、ブランド物の服もある。

麗華姫に見劣りしないためには、結構お金使わなくちゃいけないんだよね……。

あたしは、若草色のノースリーブのワンピースを着る。

腰にはピンク色のリボンが付いている。

上にはカーディガンを羽織った。



「ん、これでいいや。」



あたしは、急いで家を出て、電車に乗った。



——次はぁ〜、ミドリ〜、ミドリ〜、お出口はぁ〜、右側でぇ〜す。お忘れ物のないよう〜お気をつけください〜。



のんびりとした声のアナウンスが流れる。

その時。



誰かに見つめられているような感覚がした。




「っ……!?」



あたりを見渡すけど、分からない。

なに?

なんなの?

あたしの腕に鳥肌が立った。

なに、この視線……。

怖い。



プシュー



ドアが開く。

あたしはサッとホームに出て、走った。

得体の知れないねっとりとした視線が怖かった。

視線があたしの髪の毛を、腕を引っ張るようで…。

あたしは走ってファミレスに向かう。


なに?

あれって、あたしの錯覚?

でも、錯覚とは思えないほど嫌な感じだった。

なんだろう……。

あたしは、非現実的なことは考えないのに…。