「ひどい……、じゃあ、あたしがしたことって…、無駄だったの?」



百合香の顔が崩れる。

悔しさに顔を歪めている。

そうでしょう?

そうでしょう?

悔しいでしょう?



「昨日なんてね、あたし、柑奈に倉庫に閉じ込められたんだよ。これ、昨日つけられたアザ。見る?」



あたしは服をめくって百合香に見せた。

百合香が眉を顰める。



「ひ…ひど……」

「ああ、でもね。あたしには味方ができたんだよ!」



あたしは百合香を見て話し続けた。



「夜風。あの、前いじめられていた人!実はね、すごく優しくて強いんだよ!昨日はね、倉庫の鍵をぶっ壊してあたしを助け出してくれた。」



それで、柑奈が鍵を持っているという情報を使って、柑奈が虐待を受けているという情報を使って、柑奈が二重人格だという情報を使って……。

柑奈を追い込んだんだよね。

この情報をくれたのは、夜風。

あたしの、味方。

いくら二重人格でも、あたしをいじめたことには変わりないんだもん。

復讐して、悪いなんてこと、ないよね。

ふふふ…。

百合香の顔が明るくなる。



「よかった…。愛香に味方がいて、本当によかった…。」




あはは、呑気だね、百合香。

そういえば、百合香は、どうしてあたしがいじめられるようになったか知らないんだったよね。

あたしの告発のこと、知らないんだよね、そういえば。