「愛香〜、購買いっこ〜!!」


昼休み、百合香が声をかけてきた。


「あ、ごめん百合香!ちょっと、伏見くんを見てくる!」

「へ!?」


今日の伏見くんはおかしかった。

あたしは、心配になって、伏見くんを問い詰めることにした。


「え〜!愛香ったら、どうしちゃったの!?……もしかしてっ!!」



え…なに?

百合香の伏見くんの異変に気づいていた!?

やっぱ、観察眼の鋭い百合香にはお見通しだったりして…?





「…愛香にも、とうとう春が!?」







前言撤回。

だめだこりゃ。



「と、とにかく、伏見くん追いかけるから、今日は、ごめんね!!」



あたしは、伏見くんを見失わないうちに教室を飛び出した。






伏見くんは、屋上への階段を上がっていく。

静かに屋上への扉を開けると、伏見くんは、南の方の柵にもたれかかっていた。

近づいていくと、何かしゃべっていることがわかった。


「…なんで、アイツが戻ってくるんだよ…?…なんでだよ……」


とても悲しそうな横顔だった。



「伏見くん…」


あたしは、居た堪れなくなって伏見くんに声をかけた。



「………ッ!!!し、清水!!」



あからさまにびっくりする伏見くん。



「ねえ、伏見くん、今日、様子がおかしかったよね。どうしたの?」



ここは素直に聞くのが1番いいと思った。


「そうか……清水は、気づいていたんだな…」


伏見くんは微笑んで言った。


「ちょっと話そうぜ。」


あたしと伏見くんは、柵に寄りかかって並んで座った。