「清水」
「なに?」
八神さんに何かを渡される。
「飲んどけよ。」
箱のゴシック体の文字を見る。
『経口避妊薬』
「ぶっ!!ごほっごほっ…!」
思わず咳き込んでしまう。
「ひ、ひ、避妊薬…」
高校一年生にして、避妊薬を飲むことになるなんて…
「てっ…ていうか、なんで八神さんがこんなの持ってんの!?」
顔が赤くなるのを隠して八神さんに聞く。
「本当に聞きたい……?」
そう言う八神さんの顔は、邪悪極まりなくて…
「やめておきます。」
あたしは顔を逸らした。
「まあね、」
八神さんが頭の後ろで手を組む。
「俺も、色々事情があるんだよ。避妊薬だって必要になるわけだ。」
「………?」
なんか、ふかーーーーーい事情があるらしい。
八神さんの顔は少し悲しそうだった。
あたしは、もうそれ以上この話題に触れずに、黙って薬を飲んだ。
その時、八神さんの初期設定のままの着信音がした。
「あ〜。裕二とその仲間?に関する新しい情報じゃん。」
「え…八神さん情報屋なの…?」
八神さんがスマホを見る。
そして口角を上げる。
「ナイスタイミング。いい情報だよ。」
八神さんがスマホの画面をこちらに向ける。
「読んでみ?」