「さー、伏見くんかーら、意気込みをきーかせてーいっただきましょー」


相変わらずテンションのバグっている佐藤先生が、手を拳にして、伏見くんの口元に持っていく。


「えー、えっと、俺は…いや、僕は、こんな目立つのが得意な性格ではないんですが…」


どうした!伏見くん!

伏見くんのPRは随分たどたどしい始まり方だった。

あたしは、心配になって伏見くんに目でエールを送っていた。


伏見くんのフラフラした眼差しは、あたしを見て止まった。

その瞬間、伏見くんはにっこりと笑って背筋を伸ばした。


「僕は、こう見えて細かい作業が得意だったりします。
記憶力にも自信があるので、補佐役というかんじが僕には合っていると思います。
僕は、白神さんの秘書役のように、影でこのクラスを支えていきたいと思います。
学級委員に立候補してしまった以上、仕方ありません。
僕は、僕の責務を全うします!」


パチパチと拍手が沸き起こる。

あたしも拍手をして、伏見くんに笑いかけた。


「立派だよ。」


あたしは口パクで伏見くんに伝えた。

伏見くんは胸の前で小さくピースをして、応えてくれた。


…なんか、伏見くんの仕草、可愛いかも…


「次ーは、白神さーんだねー。頑張ってーね!」


麗華は伏見くんと違って、落ち着いていた。