伏見くんはしばらくあたしと睨み合っていた。

ニコニコ笑うあたしと、真顔であたしの顔を見つめる伏見くん。



負けられない戦い!!



「………ッ!わーったよ!やるよ、学級委員!!!」


伏見くんが顔をちょっと赤くしてプイと横を向き、言う。

ワーッと歓声が上がる。


勝った!


この戦いを制したのはあたし!

あたしはなんとも言えない優越感に浸っていた。

伏見くんの方を見ると、汗をかきながらニコニコと笑っていた。


ごめんね伏見くん!
でも、伏見くんは絶対学級委員似合ってるって!

あたしは伏見くんに心の声で呼びかけた。


「がっきゅー委員にりっこーほーする人はー、前ーに出てきてねー!」


佐藤先生もニコニコしながら2人を手招きする。

伏見くんは嫌々という感じで席を立つ。


「がんばれ!」


あたしは小声で伏見くんに言った。


「………いじわる。」


ぽそっと呟いた伏見くんの顔は赤くて…




——————キュンッ




え…?

いまキュンって…?

あたしは胸に手を当てた。

今、心臓の辺りが…ときめいた…?



ちょっと…可愛いかも…伏見くん。



席替えをして離れてしまった百合香がこちらを見て、バチコーン⭐︎と音のしそうなウィンクをし、親指を立てていた。



なに、その意味深な……



あたしが百合香に気を取られているうちに、2人は教壇に立っていた。