「アリューシャ…。お前は元気で良いな」

「だろ!?アリューシャ超元気だぜ!」

「…」

皮肉を込めて言ったつもりが、全然通じてない。

アリューシャに皮肉は通じない。ただ俺が惨めになるだけ。

「それよりさー、それよりさー、ルル公!」

「…何だよ…」

今の俺にとって、帝国自警団に関する心配事以上に大事なことはないのだが?

「見てこれ!じゃーん!」

アリューシャは、その場でビシッ、とポーズを決めた。

…?

…戦隊モノか何かの練習か?

悪いが、そういうのはアイズに見てもらってくれるか。俺は全く興味がない。

それどころじゃないんだ、今の俺は。

「…しかし、お前今日…凄い服着てるな」

今気づいたけど。

今日のアリューシャは、何やらキラキラとした赤みがかった黒いTシャツを着ていた。

おまけに、胸のところにプリントされたその文字と写真…。

よく見たら、見覚えがあるような…。

「な?良いだろこれ?これを見せに来たんだぜ」

なんだ、Tシャツを見せに来たのか。

戦隊モノの練習じゃなかった。

「お前、そんな服何処から…」

と、聞きかけたそのとき。

「アリューシャ。ルルシーに見てもらった?」

「おうよ!ルル公の奴、びっくりして腰抜かしてたぜ!」

誰が腰を抜かしたって?

嘘を言うな、嘘を。

…いや、それより。

「アイズ…お前まで…」

「どうかな?似合う?」

アイズはアリューシャの色違いで、今度はグレーっぽい黒のTシャツを着ていた。

色が違うだけで、プリントされている絵柄と文字はアリューシャと同じだ。

お前まで、何を着てんだよ。

すると。

「ルルシー、来たよ」

「…シュノ…」

アイズとアリューシャの後ろから、ひょこっと顔を覗かせたシュノも。

二人と同じTシャツの色違いを着ていた。

シュノのTシャツは、紫がかった黒である。

お前まで…何をやってるんだ。

来たよ、じゃないんだよ。

…すると。

「いやぁ、センス良いですよねこれ」

「あぁ。さすがルレイア先輩だな」

俺の背後、俺の部屋の中から声がして、振り向くと。

何処から入ってきたのか、ルリシヤとルーチェスの二人がいた。

…いつの間にお前達は、俺の背後に回ったんだ?

勿論この二人も、例のTシャツを着ている。

ルリシヤとルーチェスのは、銀色っぽい黒のTシャツだった。

そして。

このメンバーが揃ったということは、当然…俺の頭痛の種も。

「じゃーん!見てくださいルルシー」

「…ルレイア…」

これまた色違いの、真っ黒のTシャツを着て。

俺の頭痛の原因、ルレイアがそこにいた。

…お前の笑顔を見ていると、俺の悩みなんてどうでも良くなってくるな。