The previous night of the world revolution7~P.D.~

「自首しようよ。マフィアなんかじゃなくて、別の生き方もあるはずだよ。新しい人生が始められるよう、私達も協力するから」

「な…何を言ってるの?」

「他の皆もそうだよ。もっと冷静に、自分のやってることを考えてみて」

シュノさんのみならず、ルルシーやアイズに向かって、ブロテはそう言った。

「皆、きっと大変なことがあったんだろうね。マフィアに入らなきゃならない理由が…。だけど、今なら大丈夫。帝国自警団が、皆を助ける」

「…」

「こんなことはもうやめよう。足を洗って、表の世界で…明るい世界で生きられるんだよ。諦めないで」

…言わせておけば。

勝手なことを言いやがる。

「…そういうのを、余計なお世話と言うんですよ」

俺はブロテを睨みつけて言った。

久々に、俺をこれほど不快にさせてくれてありがとう。

「事情を知りもしない余所者に、説得力の欠片もない綺麗な言葉をかけられた…くらいで」

そんな生温い、無責任な言葉で。

「自分の身の振り方を変えるほど、生半可な覚悟でマフィアをやっているはずがないでしょう」

部外者が。偉そうな口を利くな。

一度暗い世界に堕ちた者が…手を差し伸べられたからって、明るい世界に戻れるとでも?

片腹痛い。

表の世界でしか生きていないような奴に、俺達の抱える闇の何が分かると?

「…君には言ってないよ、ルレイア・ティシェリー」

「…どうも気に食わないですね、あなた…」

何だろう。

出会った当初のルーシッドを彷彿とさせる、この腹立たしい感じ。

やっぱり、アリューシャに狙撃してもらった方が良いだろうか?

「…君に何と思われようと、私達は自分の責務を果たすだけだよ」

と、ブロテは言った。

責務だと?笑わせる。

これまで、ルティス帝国は数々のピンチを迎えてきた。

その度に、力を貸すどころか、国内にさえいなかった役立たずのリーダーが。

帰ってきた途端、デカい顔をしてやりたい放題。

挙げ句、この余計なお節介。

…実に不快。

何か言ってやろうかと思ったが、その前に。

「ブロテ団長、終わりました」

家探しをしていた、ブロテの部下連中が戻ってきた。

…早いな。ちゃんと見たのか?

「そう、分かった…。それじゃあ…今日のところは、これで帰るよ」

「…そんな逃げるように帰らなくても、もう少しゆっくりしていっても良いんだよ?まだ『歓迎』し足りないね」

アイズは挑戦的にそう言ったが。

しかし、ブロテは相手にしなかった。

「用があれば、また連絡をするよ」

もう二度としてこなくて良いけど。

ブロテはくるりと踵を返し、部下を引き連れて『青薔薇連合会』本部を後にした。

『…アイ公。撃たなくて良いの?』

ブロテの去り際、アリューシャは再度アイズにそう尋ねた。

…しかし。

「撃たなくて良いよ。そのまま返して」

『ちっ…。あいつ超ムカつくわ〜!』

…アリューシャ。

実は今、俺もあなたと同意見ですよ。