「…分かった。なら、私達も好きにさせてもらう。…皆、手筈通りに」
ブロテはそう言って、後ろにぞろぞろついてきた部下達に指示した。
フードの深い服を着て、黒いマスクで顔を隠した自警団員達は、自分の家のように我が物顔で踏み込んできた。
そして、容赦なく家探しを始めた。
その格好と言い、やってることと言い、空き巣みたいな連中だな。
はいはい、どうぞご勝手に。
好きにすれば良いとは言ったが、だからって、家探しされて嬉しいはずがない。
ブロテ達が見つけて喜ぶような、犯罪の「証拠」になるようなものは、何もないんですけど…。
「あなたは、『青薔薇連合会』の幹部?」
ブロテがアイズに尋ねた。
何だ。職質か?
「そうだよ」
答える義務はないはずだが、アイズは素直に頷いた。
何も隠すつもりはない、ということか。
アシュトーリアさん同様、アイズも潔い。
すると。
「じゃあ…君がルレイア・ティシェリー?」
…ん?
今、俺の名前呼ばなかった?
突然のこの質問には、アイズも驚いた。
「…違うよ。何でそう思うの?」
「『青薔薇連合会』には、ルレイア・ティシェリーという幹部がいると聞いていたから。君じゃないの?」
「私はルレイアじゃない」
「…そう」
…。
「…俺って、もしかして有名人?」
「…ある意味ではな」
傍らのルルシーに、こっそり尋ねてみると…そんな返事が返ってきた。
成程。人気者は困るな。
まさか、ポンコツ帝国自警団にまで名前が知れ渡っているとは…。
…そのとき。
「…?」
何者かの視線を感じて、くるりと振り向く。
灰色のフードを深く被った団員の一人が、一瞬だけ、睨むような視線を俺に向けていた。
…何だ、あれは。
俺が振り向くと同時に、そいつはぱっと視線を逸らし。
背中を向けて、家探し作業に戻った。
…俺のことを知ってたのだろうか?何処の誰か知らないが。
それとも、『青薔薇連合会』の一員というだけで、憎しみの対象だったか?
…あるいは…。
…いや、そんなことよりも。
今は、ブロテの質問に答えるのが先だな。
「それなら、ルレイアは何処?会わせてもらえないの?」
「ルレイアに会いたいの?何の為に?」
「彼に聞きたいことがあるからよ」
ほう。それはそれは。
やっぱり、人気者は困る。
俺のサインが欲しいのかもしれない。
「…」
アイズはともかく、ルルシーは警戒心丸出しだった。
ブロテの口から俺の名前が出てくるなり、ルルシーは臨戦態勢に入ってしまったようだった。
ルルシーの心配性、発動。
大丈夫ですって。
ルルシーは俺に目配せをして、黙っているように指示してきた。
何も言うな、黙っておけ、ってな。
ブロテが何を考えているか分からない以上、「俺がルレイアです」とわざわざ出ていくのは危険。
そう判断したんだろう、ルルシーは。心配性ですから。
…でも。
その藪に蛇が住んでいるかどうかは、棒で突っつき回してみないと分からないだろう?
「…俺をお呼びですか?」
「ばっ…!おまっ…!」
ルルシーの制止を振り切って、俺はブロテの前に出ていった。
ブロテはそう言って、後ろにぞろぞろついてきた部下達に指示した。
フードの深い服を着て、黒いマスクで顔を隠した自警団員達は、自分の家のように我が物顔で踏み込んできた。
そして、容赦なく家探しを始めた。
その格好と言い、やってることと言い、空き巣みたいな連中だな。
はいはい、どうぞご勝手に。
好きにすれば良いとは言ったが、だからって、家探しされて嬉しいはずがない。
ブロテ達が見つけて喜ぶような、犯罪の「証拠」になるようなものは、何もないんですけど…。
「あなたは、『青薔薇連合会』の幹部?」
ブロテがアイズに尋ねた。
何だ。職質か?
「そうだよ」
答える義務はないはずだが、アイズは素直に頷いた。
何も隠すつもりはない、ということか。
アシュトーリアさん同様、アイズも潔い。
すると。
「じゃあ…君がルレイア・ティシェリー?」
…ん?
今、俺の名前呼ばなかった?
突然のこの質問には、アイズも驚いた。
「…違うよ。何でそう思うの?」
「『青薔薇連合会』には、ルレイア・ティシェリーという幹部がいると聞いていたから。君じゃないの?」
「私はルレイアじゃない」
「…そう」
…。
「…俺って、もしかして有名人?」
「…ある意味ではな」
傍らのルルシーに、こっそり尋ねてみると…そんな返事が返ってきた。
成程。人気者は困るな。
まさか、ポンコツ帝国自警団にまで名前が知れ渡っているとは…。
…そのとき。
「…?」
何者かの視線を感じて、くるりと振り向く。
灰色のフードを深く被った団員の一人が、一瞬だけ、睨むような視線を俺に向けていた。
…何だ、あれは。
俺が振り向くと同時に、そいつはぱっと視線を逸らし。
背中を向けて、家探し作業に戻った。
…俺のことを知ってたのだろうか?何処の誰か知らないが。
それとも、『青薔薇連合会』の一員というだけで、憎しみの対象だったか?
…あるいは…。
…いや、そんなことよりも。
今は、ブロテの質問に答えるのが先だな。
「それなら、ルレイアは何処?会わせてもらえないの?」
「ルレイアに会いたいの?何の為に?」
「彼に聞きたいことがあるからよ」
ほう。それはそれは。
やっぱり、人気者は困る。
俺のサインが欲しいのかもしれない。
「…」
アイズはともかく、ルルシーは警戒心丸出しだった。
ブロテの口から俺の名前が出てくるなり、ルルシーは臨戦態勢に入ってしまったようだった。
ルルシーの心配性、発動。
大丈夫ですって。
ルルシーは俺に目配せをして、黙っているように指示してきた。
何も言うな、黙っておけ、ってな。
ブロテが何を考えているか分からない以上、「俺がルレイアです」とわざわざ出ていくのは危険。
そう判断したんだろう、ルルシーは。心配性ですから。
…でも。
その藪に蛇が住んでいるかどうかは、棒で突っつき回してみないと分からないだろう?
「…俺をお呼びですか?」
「ばっ…!おまっ…!」
ルルシーの制止を振り切って、俺はブロテの前に出ていった。


