事前通告をした、その翌日に訪ねてくるとは。
随分性急な話だが、しかしこれも、帝国自警団の策略だろう。
対策や隠蔽をする時間を与えず、俺達がボロを出すことを期待しているのだ。
全く小賢しい奴ら。
まぁ、でもアシュトーリアさんの言う通り。
見たいものがあるなら、どうぞ好きなように見ていけば良い。
今なら入場料無料ですよ。
マフィアの本部なんて、表社会の人間はなかなか見る機会がないだろうから。
どうぞどうぞ、好きなように見ていってください。お化け屋敷感覚で。
まぁ、帰り道は保証しませんけどね。
…すると。
『お、来たぞ』
インカムから、アリューシャの声が聞こえてきた。
帝国自警団の来訪に伴って、俺達は最大限の「おもてなし」の準備をした。
アリューシャはいつでも自警団の団長を狙えるよう、『青薔薇連合会』本部から少し離れた狙撃ポイントで待機している。
本来なら、アリューシャはもう寝てる時間なんですけどね。
こんな時間まで起きて、しかも働かされているというのに、アリューシャから不平不満はなかった。
それどころか、寝ぼけた声も聞こえない。
ライフルを持ったら、アリューシャは人が変わりますから。
今このとき、アリューシャ以上に頼りになる狙撃手はいない。
更に。
『こちらでも確認した』
『こっちからも見えますよ。元気そうで何より』
インカムから、ルリシヤとルーチェスの声も聞こえてきた。
この二人も、アリューシャ同様、『青薔薇連合会』本部から少し離れた位置で待機してもらっている。
ないとは思うが、帝国自警団が変な気を起こさないとも限らないからな。
何かあったら、彼らが帝国自警団の背後から忍び寄り、挟撃出来る体制を整えておいた。
…で、残る俺とルルシー、シュノさん、アイズの四人で…帝国自警団のお客様を「おもてなし」することになる。
万が一のことがあってはならないという配慮から、アシュトーリアさんは「おもてなし」には参加しない。
残念そうだったけど、アイズに止められてしまったのである。
皆、警戒に警戒を重ね、緊張した面持ちである。
シュノさんなんか、カチコチに固まっている。
…大丈夫だろうか?
ルルシーもルルシーで、そわそわした様子だし…。
アイズだけはさすがの貫禄を見せ、いつもと様子が変らないように見えた…けど。
内心は、もしかしたら穏やかじゃないのかも。
「…大丈夫ですよ、そんなに緊張しなくても」
皆の緊張を和らげようと、俺はそう言った。
「…そう言ってもな、舐めて良い相手ではないだろ」
と、ルルシー。
それはそうですけど。
「大丈夫ですって。帝国自警団ごとき」
「…何処から来るんだ?その自信は…」
言っておきますけど、決して虚勢じゃないですよ。
だって、そうだろう?
帝国自警団が腑抜けている間、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と共に、いくつものルティス帝国のピンチを乗り越えてきた。
自警団がどんなにイチャモンをつけてこようと、その事実に変わりはない。
俺達を違法な組織としてなじることは出来よう。
しかし、俺達が残してきた功績を否定することは出来ない。
そういう意味では、俺達は帝国自警団に強く出ることが出来る。
…それに、理由はもう一つ。
いかに、帝国自警団のリーダーが切れ者だろうと…人の上に立つ非凡な才能を持っている者は、そうそういるものではない。
認めるのは癪だが、オルタンスとか。あとは箱庭帝国のルアリスとか。
上に立つ者として、相応の能力を持っている者は少ない。
つまり、何が言いたいのかと言うと。
帝国自警団のリーダーなど、恐れるに値しない存在だということだ。
随分性急な話だが、しかしこれも、帝国自警団の策略だろう。
対策や隠蔽をする時間を与えず、俺達がボロを出すことを期待しているのだ。
全く小賢しい奴ら。
まぁ、でもアシュトーリアさんの言う通り。
見たいものがあるなら、どうぞ好きなように見ていけば良い。
今なら入場料無料ですよ。
マフィアの本部なんて、表社会の人間はなかなか見る機会がないだろうから。
どうぞどうぞ、好きなように見ていってください。お化け屋敷感覚で。
まぁ、帰り道は保証しませんけどね。
…すると。
『お、来たぞ』
インカムから、アリューシャの声が聞こえてきた。
帝国自警団の来訪に伴って、俺達は最大限の「おもてなし」の準備をした。
アリューシャはいつでも自警団の団長を狙えるよう、『青薔薇連合会』本部から少し離れた狙撃ポイントで待機している。
本来なら、アリューシャはもう寝てる時間なんですけどね。
こんな時間まで起きて、しかも働かされているというのに、アリューシャから不平不満はなかった。
それどころか、寝ぼけた声も聞こえない。
ライフルを持ったら、アリューシャは人が変わりますから。
今このとき、アリューシャ以上に頼りになる狙撃手はいない。
更に。
『こちらでも確認した』
『こっちからも見えますよ。元気そうで何より』
インカムから、ルリシヤとルーチェスの声も聞こえてきた。
この二人も、アリューシャ同様、『青薔薇連合会』本部から少し離れた位置で待機してもらっている。
ないとは思うが、帝国自警団が変な気を起こさないとも限らないからな。
何かあったら、彼らが帝国自警団の背後から忍び寄り、挟撃出来る体制を整えておいた。
…で、残る俺とルルシー、シュノさん、アイズの四人で…帝国自警団のお客様を「おもてなし」することになる。
万が一のことがあってはならないという配慮から、アシュトーリアさんは「おもてなし」には参加しない。
残念そうだったけど、アイズに止められてしまったのである。
皆、警戒に警戒を重ね、緊張した面持ちである。
シュノさんなんか、カチコチに固まっている。
…大丈夫だろうか?
ルルシーもルルシーで、そわそわした様子だし…。
アイズだけはさすがの貫禄を見せ、いつもと様子が変らないように見えた…けど。
内心は、もしかしたら穏やかじゃないのかも。
「…大丈夫ですよ、そんなに緊張しなくても」
皆の緊張を和らげようと、俺はそう言った。
「…そう言ってもな、舐めて良い相手ではないだろ」
と、ルルシー。
それはそうですけど。
「大丈夫ですって。帝国自警団ごとき」
「…何処から来るんだ?その自信は…」
言っておきますけど、決して虚勢じゃないですよ。
だって、そうだろう?
帝国自警団が腑抜けている間、『青薔薇連合会』は帝国騎士団と共に、いくつものルティス帝国のピンチを乗り越えてきた。
自警団がどんなにイチャモンをつけてこようと、その事実に変わりはない。
俺達を違法な組織としてなじることは出来よう。
しかし、俺達が残してきた功績を否定することは出来ない。
そういう意味では、俺達は帝国自警団に強く出ることが出来る。
…それに、理由はもう一つ。
いかに、帝国自警団のリーダーが切れ者だろうと…人の上に立つ非凡な才能を持っている者は、そうそういるものではない。
認めるのは癪だが、オルタンスとか。あとは箱庭帝国のルアリスとか。
上に立つ者として、相応の能力を持っている者は少ない。
つまり、何が言いたいのかと言うと。
帝国自警団のリーダーなど、恐れるに値しない存在だということだ。


