…更に、驚いたことに。
『青薔薇連合会』への立ち入り調査を敢行する旨を、自警団の皆に話したところ。
他にもたくさんの団員が、同行を申し出てくれた。
これにはびっくりした。
事前通告はしているとはいえ、マフィアの本部に乗り込むなんて、誰が考えても危険だと分かる。
『青薔薇連合会』を恐れて、誰もついてこないかと思ったのに。
勿論、同行を志願してくれた団員達だって、恐怖はあるだろう。
『青薔薇連合会』の危険性については、むしろ私よりよく知っているだろうから。
それでも、仲間達はその恐れを振り払い、同行を志願してくれた。
彼らは帝国自警団の誇りを忘れていないのだ。
どれほど存在感が薄いとなじられようと、どれほど落ちぶれて笑われても。
帝国自警団の誇り、その権威は…以前と何も変わらない。
むしろ、この立ち入り調査を契機に…再び帝国自警団が、ルティス帝国を支える柱として君臨することを望んでいる。
これは、その為の一歩なのだ。
帝国自警団再起の為の、大きな一歩。
皆がこれだけ期待してくれているなら、その期待を裏切る訳にはいかないね。
あまりに志願者が多かった為、同行メンバーを選別しなければならないくらいだった。
こうして、立ち入り調査のメンバーが決まり。
あとは、立ち入り調査の決行日である明日を待つだけ…。
…そう思っていた、そのとき。
とある一人の団員が、私のもとにやって来た。
「ブロテ団長」
「…あれ…君は…」
…ルティス帝国に帰ってきたばかりで、自警団の団員もかなり顔ぶれが変わってしまったけど。
生憎私は、人の顔と名前を覚えるのは得意な方だ。
「君は確か、この間自警団に入ってきたばかりの…」
私がルティス帝国に戻ってきて、歓迎会を開いてもらった日。
あの日に入団してきてくれた団員さんだよね。
「はい…。…よく覚えていらっしゃるんですね」
「大事な仲間だもん。当たり前だよ」
自警団の理想を、一緒に共有してくれる仲間。
入ってきたばかりだろうと、そんなことは関係ない。
「それで…私に何か用?」
「はい…。自分も、明日の『青薔薇連合会』への立ち入り調査に参加させてもらいたいんです」
…え?
この子も…立ち入り調査のメンバーに志願してくれようとしているらしい。
それは…その気持ちはとても嬉しいのだけど…。
「立ち入り調査のメンバーは、もう決まっちゃってるから…」
新人じゃ駄目って訳じゃないけど、既にメンバーは決まってしまっている。
他にも志願者がいる中、選別して集まったメンバーだから…。
「それは分かっています。でも、どうしても…同行させて欲しいんです」
彼の顔も、目も、声も本気だった。
本気で彼は、立ち入り調査に同行したいと思っているのだと分かった。
恐らく…私よりも強い意志を持って。
…そこまで…。
「…お願いします。どうしても…そうしなきゃいけないんです」
「…」
…詳しい事情は聞かないよ。
君も、聞かれたくはないだろうからね。
その気持ちは、確かに受け取った。
「…分かったよ。同行を許可します」
「…!ありがとうございます」
結局、彼の熱意に負けてしまった。
一人くらい人手が増えても、特に問題はなかろう。
特例として、彼も連れて行くことにしよう。
『青薔薇連合会』への立ち入り調査を敢行する旨を、自警団の皆に話したところ。
他にもたくさんの団員が、同行を申し出てくれた。
これにはびっくりした。
事前通告はしているとはいえ、マフィアの本部に乗り込むなんて、誰が考えても危険だと分かる。
『青薔薇連合会』を恐れて、誰もついてこないかと思ったのに。
勿論、同行を志願してくれた団員達だって、恐怖はあるだろう。
『青薔薇連合会』の危険性については、むしろ私よりよく知っているだろうから。
それでも、仲間達はその恐れを振り払い、同行を志願してくれた。
彼らは帝国自警団の誇りを忘れていないのだ。
どれほど存在感が薄いとなじられようと、どれほど落ちぶれて笑われても。
帝国自警団の誇り、その権威は…以前と何も変わらない。
むしろ、この立ち入り調査を契機に…再び帝国自警団が、ルティス帝国を支える柱として君臨することを望んでいる。
これは、その為の一歩なのだ。
帝国自警団再起の為の、大きな一歩。
皆がこれだけ期待してくれているなら、その期待を裏切る訳にはいかないね。
あまりに志願者が多かった為、同行メンバーを選別しなければならないくらいだった。
こうして、立ち入り調査のメンバーが決まり。
あとは、立ち入り調査の決行日である明日を待つだけ…。
…そう思っていた、そのとき。
とある一人の団員が、私のもとにやって来た。
「ブロテ団長」
「…あれ…君は…」
…ルティス帝国に帰ってきたばかりで、自警団の団員もかなり顔ぶれが変わってしまったけど。
生憎私は、人の顔と名前を覚えるのは得意な方だ。
「君は確か、この間自警団に入ってきたばかりの…」
私がルティス帝国に戻ってきて、歓迎会を開いてもらった日。
あの日に入団してきてくれた団員さんだよね。
「はい…。…よく覚えていらっしゃるんですね」
「大事な仲間だもん。当たり前だよ」
自警団の理想を、一緒に共有してくれる仲間。
入ってきたばかりだろうと、そんなことは関係ない。
「それで…私に何か用?」
「はい…。自分も、明日の『青薔薇連合会』への立ち入り調査に参加させてもらいたいんです」
…え?
この子も…立ち入り調査のメンバーに志願してくれようとしているらしい。
それは…その気持ちはとても嬉しいのだけど…。
「立ち入り調査のメンバーは、もう決まっちゃってるから…」
新人じゃ駄目って訳じゃないけど、既にメンバーは決まってしまっている。
他にも志願者がいる中、選別して集まったメンバーだから…。
「それは分かっています。でも、どうしても…同行させて欲しいんです」
彼の顔も、目も、声も本気だった。
本気で彼は、立ち入り調査に同行したいと思っているのだと分かった。
恐らく…私よりも強い意志を持って。
…そこまで…。
「…お願いします。どうしても…そうしなきゃいけないんです」
「…」
…詳しい事情は聞かないよ。
君も、聞かれたくはないだろうからね。
その気持ちは、確かに受け取った。
「…分かったよ。同行を許可します」
「…!ありがとうございます」
結局、彼の熱意に負けてしまった。
一人くらい人手が増えても、特に問題はなかろう。
特例として、彼も連れて行くことにしよう。


