The previous night of the world revolution7~P.D.~

…更に、驚いたことに。

『青薔薇連合会』への立ち入り調査を敢行する旨を、自警団の皆に話したところ。

他にもたくさんの団員が、同行を申し出てくれた。

これにはびっくりした。

事前通告はしているとはいえ、マフィアの本部に乗り込むなんて、誰が考えても危険だと分かる。

『青薔薇連合会』を恐れて、誰もついてこないかと思ったのに。

勿論、同行を志願してくれた団員達だって、恐怖はあるだろう。

『青薔薇連合会』の危険性については、むしろ私よりよく知っているだろうから。

それでも、仲間達はその恐れを振り払い、同行を志願してくれた。

彼らは帝国自警団の誇りを忘れていないのだ。

どれほど存在感が薄いとなじられようと、どれほど落ちぶれて笑われても。

帝国自警団の誇り、その権威は…以前と何も変わらない。

むしろ、この立ち入り調査を契機に…再び帝国自警団が、ルティス帝国を支える柱として君臨することを望んでいる。

これは、その為の一歩なのだ。

帝国自警団再起の為の、大きな一歩。

皆がこれだけ期待してくれているなら、その期待を裏切る訳にはいかないね。

あまりに志願者が多かった為、同行メンバーを選別しなければならないくらいだった。

こうして、立ち入り調査のメンバーが決まり。

あとは、立ち入り調査の決行日である明日を待つだけ…。

…そう思っていた、そのとき。

とある一人の団員が、私のもとにやって来た。

「ブロテ団長」

「…あれ…君は…」

…ルティス帝国に帰ってきたばかりで、自警団の団員もかなり顔ぶれが変わってしまったけど。

生憎私は、人の顔と名前を覚えるのは得意な方だ。

「君は確か、この間自警団に入ってきたばかりの…」

私がルティス帝国に戻ってきて、歓迎会を開いてもらった日。

あの日に入団してきてくれた団員さんだよね。

「はい…。…よく覚えていらっしゃるんですね」

「大事な仲間だもん。当たり前だよ」

自警団の理想を、一緒に共有してくれる仲間。

入ってきたばかりだろうと、そんなことは関係ない。

「それで…私に何か用?」

「はい…。自分も、明日の『青薔薇連合会』への立ち入り調査に参加させてもらいたいんです」

…え?

この子も…立ち入り調査のメンバーに志願してくれようとしているらしい。

それは…その気持ちはとても嬉しいのだけど…。

「立ち入り調査のメンバーは、もう決まっちゃってるから…」

新人じゃ駄目って訳じゃないけど、既にメンバーは決まってしまっている。

他にも志願者がいる中、選別して集まったメンバーだから…。

「それは分かっています。でも、どうしても…同行させて欲しいんです」

彼の顔も、目も、声も本気だった。

本気で彼は、立ち入り調査に同行したいと思っているのだと分かった。

恐らく…私よりも強い意志を持って。

…そこまで…。

「…お願いします。どうしても…そうしなきゃいけないんです」

「…」

…詳しい事情は聞かないよ。

君も、聞かれたくはないだろうからね。

その気持ちは、確かに受け取った。

「…分かったよ。同行を許可します」

「…!ありがとうございます」

結局、彼の熱意に負けてしまった。

一人くらい人手が増えても、特に問題はなかろう。

特例として、彼も連れて行くことにしよう。