The previous night of the world revolution7~P.D.~

「まぁ、そんなことをする気力もなかったんで、結局『青薔薇連合会』に入っていたでしょうけど」

それに、帝国自警団にはルルシーがいない。

俺は、ルルシーのいるところにいたかったんですよ。

ルルシーのいるところが、俺の居場所だから。

「そういう意味では、帝国自警団が落ちぶれていたことに感謝しないと…」

「…ルレイア。もう良い」

これ以上、あの当時のことを思い出したくないだろうと。

ルルシーはそう言って、俺を制した。

相変わらず心配性なんだから。

でも、これは俺だけの話じゃない。

二人は何も言わないが、ルリシヤやルーチェスにも同じことが言えるだろう。

特にルリシヤは…兄の策略によって帝国騎士団に入れなかった代わりに、帝国自警団に入団していてもおかしくなかった。

ルーチェスだって、その可能性はあった。

しかし、帝国自警団がいつになく落ちぶれ、影の薄い存在だったからこそ。

二人共、その選択肢を考えることはなかった。

そして今、こうして…『青薔薇連合会』本部の会議室で、互いに顔を合わせている。

その選択が正しかったのか、それとも間違っていたのかは分からない。

考えても仕方がない。

選んだ運命を、やり直すことは出来ないのだから。

詮無い話をしてしまった。

「…ともあれ」

と、アイズが仕切り直しとばかりに、話を戻した。

「帝国自警団の台頭は、私達にとって不都合だ」

…そうですね。

「帝国騎士団にはこれまで散々貸しを作ってあるから…何かあっても、いくらでも黙らせることが出来るけど…」
 
「帝国自警団には、何の貸し借りもないからな。向こうはやりたい放題だろう」

アイズとルリシヤが言った。

うーん…。そう考えると、思わず頭が痛くなる。

「何?なんか問題なのか?」

と、首を傾げるアリューシャ。

「問題だよ、アリューシャ。帝国騎士団なら見逃してくれていたことも、帝国自警団相手なら全部咎められるからね」

「…??」

なおも首を傾げ続けるアリューシャに。

アイズは、いつもの例え話をして説明した。

「そうだな…。例えば、帝国騎士団っていうケーキ屋があったとしよう」

「マジ!?あいつらケーキ屋やってんの?」

例え話ですよ、例え話。

帝国騎士団のケーキ屋…。

考えただけで不味そうだから、俺は遠慮しておく。

「そのケーキ屋では、私達は超お得意様のVIP待遇なんだよ。ケーキはいつも焼き立てを買えるし、何ならアリューシャの為に特別なケーキを作ってくれるんだ」

「うぉぉ!それはすげぇ!じゃあアリューシャが、チョコカステラチーズシュークリームスペシャルパフェショートケーキとか作って!って言ったら、作ってくれんの?」

「勿論作ってくれるよ」

「すげぇぇぇぇ!!」

…それは本当に凄いですね。

あまり美味しそうには聞こえなかったけど、とにかくアリューシャの夢がたくさん詰まっているのはよく分かった。

そんなアリューシャを、ルルシーは白い目で見ていた。まぁまぁ。