これだけ様々な事件が起きているのに。
帝国自警団は役目を果たすどころか、名前すら聞かなかった。
「ふーん。そいつら何の役にも立ってねーじゃん。いる意味あんの?」
相変わらず、身も蓋もないアリューシャである。
しかし、俺も同感だ。
いる意味…なくね?
だって、ルティス帝国はこれほどの有事に見舞われたというのに。
アリューシャの言う通り、帝国自警団は何の役にも立たなかった。
「帝国自警団の代わりに、全て『青薔薇連合会』が解決したと言っても過言ではないからな」
「自警団なんかより、よっぽど頼り甲斐がありますよね〜」
ルリシヤとルーチェスが言った。
全くだ。
いつだって、ルティス帝国で起きた事件を解決してきたのは、帝国騎士団と『青薔薇連合会』である。
特に俺達の功績の方が大きいのは、言うまでもない。
その中でも、特に俺の手柄だな。
MVPですから。俺。
「そんなに名ばかりの組織なら、いっそ解散してしまえば良いものを…」
と、ルルシーは眉をひそめて言った。
うん。個人的には、俺もルルシーの意見に賛成だ。
でも、それはなかなか難しいだろう。
「どうでしょうね。いくら弱体化したとしても、自警団を解散するのは難しいでしょう」
「何でだ?それほど役に立ってないなら、もう必要ないだろう」
「下らないメンツの問題ですよ。帝国自警団は、帝国騎士団ほどではないにせよ…それなりに歴史の深い組織なんです」
「…あぁ…そういうことかよ」
と、ルルシーは吐き捨てるように言った。
そう、そういうことです。
「伝統ある組織だから、簡単に解散出来ないんだな?」
「そうですね」
端的に言えばそうなる。
帝国自警団がこれほど影の薄い存在になったのは、ここ最近の話であって。
一応、こうなる前は…帝国騎士団と帝国自警団は、ルティス帝国を支える二本の柱としての役目を果たしていた。
「帝国騎士団ほどではないにせよ、帝国自警団もそこそこ人気な組織だったんですよ。帝国騎士は堅苦しいから、自警団に入りたいっていう人は大勢いましたし」
「そうなのか…」
帝国自警団は、帝国騎士団と比べると若干「緩い」組織だ。
それに比べて、帝国騎士団はご存知の通り、頭が金槌より硬い連中の集まりだからな。
更に、帝国騎士団は貴族出身者が多く、貴族のメンツだのプライドだの、色々面倒なしがらみに囚われている者も多いが。
その点帝国自警団は、平民出身者がほとんどだ。
当然、面倒な貴族のしがらみなどはない。
上下関係も、帝国騎士団に比べればかなり緩いし。
ルティス帝国を守りたい(笑)という若者達は、こぞって帝国騎士団や、帝国自警団に入団していた。
俺は貴族だったから、帝国自警団に入るという選択肢はなかったけど…。
「…ここだけの話、もし帝国自警団が今ほど落ちぶれていなかったら…。帝国騎士団から追い出された後、俺は『青薔薇連合会』ではなく、帝国自警団に入っていたかもしれませんね」
「…!ルレイア…」
今となっては、そうしなくて本当に良かったと思うけど。
帝国騎士団の掲げる「正義」に裏切られた、あの頃の俺だったら。
今こそ帝国騎士団の腐敗を正すときとばかりに、帝国自警団に鞍替えしていたかもしれない。
その可能性は、充分にあっただろう。
帝国自警団は役目を果たすどころか、名前すら聞かなかった。
「ふーん。そいつら何の役にも立ってねーじゃん。いる意味あんの?」
相変わらず、身も蓋もないアリューシャである。
しかし、俺も同感だ。
いる意味…なくね?
だって、ルティス帝国はこれほどの有事に見舞われたというのに。
アリューシャの言う通り、帝国自警団は何の役にも立たなかった。
「帝国自警団の代わりに、全て『青薔薇連合会』が解決したと言っても過言ではないからな」
「自警団なんかより、よっぽど頼り甲斐がありますよね〜」
ルリシヤとルーチェスが言った。
全くだ。
いつだって、ルティス帝国で起きた事件を解決してきたのは、帝国騎士団と『青薔薇連合会』である。
特に俺達の功績の方が大きいのは、言うまでもない。
その中でも、特に俺の手柄だな。
MVPですから。俺。
「そんなに名ばかりの組織なら、いっそ解散してしまえば良いものを…」
と、ルルシーは眉をひそめて言った。
うん。個人的には、俺もルルシーの意見に賛成だ。
でも、それはなかなか難しいだろう。
「どうでしょうね。いくら弱体化したとしても、自警団を解散するのは難しいでしょう」
「何でだ?それほど役に立ってないなら、もう必要ないだろう」
「下らないメンツの問題ですよ。帝国自警団は、帝国騎士団ほどではないにせよ…それなりに歴史の深い組織なんです」
「…あぁ…そういうことかよ」
と、ルルシーは吐き捨てるように言った。
そう、そういうことです。
「伝統ある組織だから、簡単に解散出来ないんだな?」
「そうですね」
端的に言えばそうなる。
帝国自警団がこれほど影の薄い存在になったのは、ここ最近の話であって。
一応、こうなる前は…帝国騎士団と帝国自警団は、ルティス帝国を支える二本の柱としての役目を果たしていた。
「帝国騎士団ほどではないにせよ、帝国自警団もそこそこ人気な組織だったんですよ。帝国騎士は堅苦しいから、自警団に入りたいっていう人は大勢いましたし」
「そうなのか…」
帝国自警団は、帝国騎士団と比べると若干「緩い」組織だ。
それに比べて、帝国騎士団はご存知の通り、頭が金槌より硬い連中の集まりだからな。
更に、帝国騎士団は貴族出身者が多く、貴族のメンツだのプライドだの、色々面倒なしがらみに囚われている者も多いが。
その点帝国自警団は、平民出身者がほとんどだ。
当然、面倒な貴族のしがらみなどはない。
上下関係も、帝国騎士団に比べればかなり緩いし。
ルティス帝国を守りたい(笑)という若者達は、こぞって帝国騎士団や、帝国自警団に入団していた。
俺は貴族だったから、帝国自警団に入るという選択肢はなかったけど…。
「…ここだけの話、もし帝国自警団が今ほど落ちぶれていなかったら…。帝国騎士団から追い出された後、俺は『青薔薇連合会』ではなく、帝国自警団に入っていたかもしれませんね」
「…!ルレイア…」
今となっては、そうしなくて本当に良かったと思うけど。
帝国騎士団の掲げる「正義」に裏切られた、あの頃の俺だったら。
今こそ帝国騎士団の腐敗を正すときとばかりに、帝国自警団に鞍替えしていたかもしれない。
その可能性は、充分にあっただろう。


