帝国自警団の団長…か。
会ったことはないが、名前は確か…。
「…ブロテとか言いましたっけ。ブロテ・ルリシアス」
「その通りです、さすがルレイア師匠。よく覚えてますね」
記憶力は良い方なんですよ。これでもね。
「団長代理の方は知りませんけどね。何て名前なんですか?」
「僕があのとき会ったのは…マリアーネとかいう女でしたね」
マリアーネ…聞き覚えはないな。
いずれにしても、その団長代理は大したことはしてないみたいだから、覚えてなくて良いけど。
マリアーネとかいうのは大人しかったのに、大人しくない方の本来の団長が帰ってきてしまったと。
面倒な話だ。
そのまま一生留学して、アシスファルト帝国の人間になってれば良かったのに。
「なー。アリューシャ全然分かってないんだけどさー」
と、アリューシャは両手を頭の後ろで組みながら言った。
「そのじけーだんって奴は、偉いの?」
かなりざっくりとした質問である。
でも、偉いか偉くないかで答えると…。
「偉いですよ。政権を持たない以外は、ほとんど帝国騎士団と変わらない権力を持ってますから」
「…せーけん?」
「政治をする権利のことだよ、アリューシャ」
と、アイズが説明してあげていた。
非常にざっくりとした説明だが、分かりやすく言うとそうなる。
「偉いのは帝国騎士団だけじゃねーの?そいつらも偉いのか」
「えぇ。与党と野党みたいなもの…って言っても、アリューシャはあまりピンと来ないかもしれませんが…」
「よとー…。やとー…。それってあれか。砂糖の一種か?」
違う。糖じゃなくて、党。
「…この馬鹿アリューシャ…」
ルルシーが毒づいていた。まぁまぁ。
帝国騎士団とほぼ同等の権限を持つとはいえ、どうしても帝国自警団は、帝国騎士団より影が薄いから。
ましてや、ここ10年近くずっと、自警団は鳴りを潜めていた訳だし…。知らなくても仕方がない。
すると。
「私もよく知らないんだけど…。自警団って確か、帝国騎士団の暴政?を抑制する為の組織なのよね」
シュノさんが、もう少し詳しい質問をした。
「えぇ、その通りです。帝国騎士団の一党独裁が起きないよう、いざというとき帝国騎士団を止める為に…帝国騎士団とほぼ同等の権限を持ち、常に帝国騎士団を見張ってるんですよ」
「成程…。…それって結構、重要な組織ってことよね?」
シュノさん、あなた相変わらず、良いことを言いますね。
俺もそう思います。
「重要な組織ですよ、それなりにね。帝国騎士団の監視だけではなく、ルティス帝国に有事があれば、帝国騎士団と共に解決に当たるのも仕事です」
「有事って…。…この10年間、有事は何度もあったはずだけど…。全然名前も聞かなかったわね」
「そのマリアーネという女が、余程無能だったんでしょう」
マリアーネが帝国自警団の団長代理を務めている間、ルティス帝国では何があった?
元童帝坊ちゃんによる、箱庭帝国の革命に巻き込まれたり。
シェルドニア王国の内輪揉めに付き合わされ、危うくルティス帝国侵攻の危機を迎えたこともあった。
その後は、年齢サバ読みおばさんことルチカ・ブランシェットの『天の光教』事件。
そしてそれに続く、『帝国の光』率いるルティス帝国の共産主義運動の活発化…。
ぱっと思い出せるだけでも、これだけある。
細かい事件を挙げていたら、他にもたくさんある。
たった10年の間で、ルティス帝国も波乱万丈、激動の時代を送ってきたもんだ。
そして、いずれの事件においても。
渦中にいたのは、帝国自警団ではない。
帝国騎士団と、それから俺達…『青薔薇連合会』だった。
会ったことはないが、名前は確か…。
「…ブロテとか言いましたっけ。ブロテ・ルリシアス」
「その通りです、さすがルレイア師匠。よく覚えてますね」
記憶力は良い方なんですよ。これでもね。
「団長代理の方は知りませんけどね。何て名前なんですか?」
「僕があのとき会ったのは…マリアーネとかいう女でしたね」
マリアーネ…聞き覚えはないな。
いずれにしても、その団長代理は大したことはしてないみたいだから、覚えてなくて良いけど。
マリアーネとかいうのは大人しかったのに、大人しくない方の本来の団長が帰ってきてしまったと。
面倒な話だ。
そのまま一生留学して、アシスファルト帝国の人間になってれば良かったのに。
「なー。アリューシャ全然分かってないんだけどさー」
と、アリューシャは両手を頭の後ろで組みながら言った。
「そのじけーだんって奴は、偉いの?」
かなりざっくりとした質問である。
でも、偉いか偉くないかで答えると…。
「偉いですよ。政権を持たない以外は、ほとんど帝国騎士団と変わらない権力を持ってますから」
「…せーけん?」
「政治をする権利のことだよ、アリューシャ」
と、アイズが説明してあげていた。
非常にざっくりとした説明だが、分かりやすく言うとそうなる。
「偉いのは帝国騎士団だけじゃねーの?そいつらも偉いのか」
「えぇ。与党と野党みたいなもの…って言っても、アリューシャはあまりピンと来ないかもしれませんが…」
「よとー…。やとー…。それってあれか。砂糖の一種か?」
違う。糖じゃなくて、党。
「…この馬鹿アリューシャ…」
ルルシーが毒づいていた。まぁまぁ。
帝国騎士団とほぼ同等の権限を持つとはいえ、どうしても帝国自警団は、帝国騎士団より影が薄いから。
ましてや、ここ10年近くずっと、自警団は鳴りを潜めていた訳だし…。知らなくても仕方がない。
すると。
「私もよく知らないんだけど…。自警団って確か、帝国騎士団の暴政?を抑制する為の組織なのよね」
シュノさんが、もう少し詳しい質問をした。
「えぇ、その通りです。帝国騎士団の一党独裁が起きないよう、いざというとき帝国騎士団を止める為に…帝国騎士団とほぼ同等の権限を持ち、常に帝国騎士団を見張ってるんですよ」
「成程…。…それって結構、重要な組織ってことよね?」
シュノさん、あなた相変わらず、良いことを言いますね。
俺もそう思います。
「重要な組織ですよ、それなりにね。帝国騎士団の監視だけではなく、ルティス帝国に有事があれば、帝国騎士団と共に解決に当たるのも仕事です」
「有事って…。…この10年間、有事は何度もあったはずだけど…。全然名前も聞かなかったわね」
「そのマリアーネという女が、余程無能だったんでしょう」
マリアーネが帝国自警団の団長代理を務めている間、ルティス帝国では何があった?
元童帝坊ちゃんによる、箱庭帝国の革命に巻き込まれたり。
シェルドニア王国の内輪揉めに付き合わされ、危うくルティス帝国侵攻の危機を迎えたこともあった。
その後は、年齢サバ読みおばさんことルチカ・ブランシェットの『天の光教』事件。
そしてそれに続く、『帝国の光』率いるルティス帝国の共産主義運動の活発化…。
ぱっと思い出せるだけでも、これだけある。
細かい事件を挙げていたら、他にもたくさんある。
たった10年の間で、ルティス帝国も波乱万丈、激動の時代を送ってきたもんだ。
そして、いずれの事件においても。
渦中にいたのは、帝国自警団ではない。
帝国騎士団と、それから俺達…『青薔薇連合会』だった。


