今日の会議も、アイズが主導するということで。

今日も宜しくお願いします。

…さて、それじゃあ本題。

「皆、さっき聞いたから知ってると思うけど…この度、帝国自警団が動き出したらしい」

…とのこと。

うーん…。何度聞いても、忌々しいの極み。

頭が痛くなりますね。

…しかし。

「…はい!アイ公先生!質問です!」

アリューシャが、しゅばっと手を挙げた。

珍しく、会議中にアリューシャが起きてますね。

それだけアリューシャも、事態の危険性を実感しているということなのか…。

…それとも、今日はさっき海辺で昼寝をしたばかりだから、眠くないだけなのか。

いずれにしても、起きているのだから良し。

「何かな?アリューシャ」

「てーこくじけーだんって何ですか!」

「…」

…まぁ。

アリューシャは、そんな質問をするだろうと思ってた。

「…お前…」

そんなことも知らないのか、とばかりにピキピキと血管を浮き立たせるルルシーだったが。

「…あの…。実は私も、よく知らない…」

シュノさんが申し訳無さそうな顔をして、小さく挙手した。

…無理もないですよね。

更に、ルルシーも。

「…まぁ、俺も…そんなに詳しく知ってる訳じゃないから、人のこと責められないけどな」

…こちらも、無理もない。

すると、それを聞いたアリューシャが。

「なーんだ。ルル公も知らないんだ。アリューシャと一緒じゃーん」

「何だと?お前と一緒にするな。よく知らないってだけで、全く知らないって訳じゃない」

「まぁまぁ、ルルシー。落ち着きましょうよ」

アリューシャと喧嘩しないで。分かりましたから。

…それにな。

「知らなくても無理ありませんよ」

と、俺は言った。

特に、ここ最近はな。

俺だって、今日アイズに聞かされるまで…思い出しもしなかった。

アイズに言われて初めて、「そういやそんな奴らがいたな」と思い出したのだ。

多分、ルリシヤとルーチェスもそうだろう。

二人共帝国自警団については知っているが、奴らを思い出すことはなかった。

…思い出す必要もなかったしな。

俺にとっては…あまり思い出したくないことだったし。

「近頃の帝国自警団は、すっかり影が薄くなってましたからね」

一体何を思って、今更表舞台に出てきたんだか。

ヒーローは遅れてやって来る、ってか?

ヒーローにしては、遅れ過ぎて手遅れなのでは?

「てーこくじけーだんって何ぞよ?」

自警団のことを全く知らないらしいアリューシャが、きょとんと首を傾げた。

大丈夫ですよ。あんな奴ら、知らなくても一向に生きていけますから。

でも、敢えて説明するとしたら…。

「第二の帝国騎士団みたいなものですよ」

「ほぇ?そんな奴いるの?」

…まぁ、そんな反応になるのも分かる。

「アリューシャ知らねぇぞ、そんな奴ら。会ったことねーし」

「俺も会ったことはないですよ」

これまで俺の人生で、帝国自警団と関わり合いになったことはないな。

だが、知識としては知っている。

そういう無駄なことばかり、幼い頃から頭に詰め込まれて生きてきたもので。