―――――…その頃、帝国自警団本部の一室では。







「…『ブルーローズ・ユニオン』についたかと思ったら、結局演技だったという訳か」

俺達の「協力者」から、事の次第を聞かされた。

近頃大人しくしていると思ったら、そういう訳か。

あの男が大人しくするなんてとんでもない。

「…全く驚くようなことじゃないな」

『青薔薇連合会』を裏切ったと見せかけて、『ブルーローズ・ユニオン』に媚びを売る。

他人を騙し、演技をして油断させ、散々利用し。

用が済めば、盛大に喉元を食い千切る。

…奴を信じていた者の思いを、踏みにじるように。

あの男の、いつものやり方じゃないか。

「…全く変わってないのね」

一緒に「協力者」からの報告を読んでいた俺の理解者が、ポツリとそう漏らした。

…そうだな。

「私達を裏切って、踏みにじったあのときから…全く変わってない」

ほんの少しでも、時の流れが奴の良心を育てたかもしれない、などと期待する方が間違っている。

あの男は、何も変わっていない。

残忍なペテン師のままだ。

だから、だからこそ俺達は…。

「…大丈夫だ。セルテリシアには、まだバレてないようだし」

「…そうね」

「気づかれる前に…必ずやり遂げる」

首を洗って待っていろ、ルレイア・ティシェリー。

精々、束の間の安息を楽しむが良い。