「お前ら…嘘ついてるんじゃないだろうな?この期に及んで…」

「エペル、ミミニア。何か知っているなら話してあげてください。お願いします」

二人が何かを隠しているのではないかと、セルテリシアは側近達に自白を促した。

しかし…。

「セルテリシア様、あなたに誓って…本当に何を言っているのか分からないのです」

「…ミミニアは?」

「私もです。『M.T.S社』から特別連絡があったという報告もありません」

「…」

…嘘をついている訳ではなさそうだな。

ここまで問い詰めて、何も出てこないってことは…。

「何だって…?じゃあ、『M.T.S社』のリーダーと幹部達は…?」

「…あの…済みません。私、本当に分からなくて…。一体何があったのか教えてもらえませんか?」

「…」

こっちが教えてもらうはずだったのに、むしろ俺達がセルテリシアに、何が起きたのかを説明しなければならないとは。

なんてことだ。

「…少し前に、君達の傘下の『M.T.S社』が、新兵器…これがレーザー兵器なんだけど…これらを開発、秘密裏に売買しているという情報を掴んでね」

「…!?」

「取引相手の一人に、帝国自警団も含まれている。これは自警団団長にも直接確認を取った、確定情報だよ」

「…」

セルテリシアのみならず。

エペルとミミニアも、寝耳に水とばかりに目を見開いている。

本当に何も知らなかったのか…呑気な奴らだ。

「あと一歩のところまで追い詰めたんだけど、すんでのところでリーダーと幹部達を逃してしまってね。君達が庇っているものと踏んでいたんだけど…」

「…アイズレンシアさん。信じてもらえないかもしれませんけど…本当に、私は知りません。初耳です…」

「…信じるよ。この期に及んで、君に嘘をつく理由はないはずだからね」

…成程。

あのレーザー兵器、俺の思っていた以上に根が深いらしい。

セルテリシアにまで黙って事を進めていたとは…。

「でも、『M.T.S社』は私達サナリ派の傘下組織です。私達に黙って何かしようとしているなら…それは私達の問題でもあります」

「そうだね」

「今すぐに探ってみます。何か分かったら…」

「すぐに連絡して欲しい。それで良いね?」

「はい」

やれやれ。

セルテリシアを引っ捕らえて、アイズの前に連れてきたら、すぐその場で解決するものだと思っていたら。

全然そんなことはなかった。むしろ、余計に話が拗れてきた。

「…お互い因縁浅からぬ身だけど、今回ばかりは、一時的にでも手を組んでもらうよ」

「…分かりました」

エペルとミミニアは嫌がるだろうけど。

セルテリシアが決めた手前、突っぱねる訳にはいかないだろう。

しかしこんな形で、サナリ派と組むことになるとは…。

分からないものですね、人生って。