「ほら、アリューシャ。レーザー兵器の件だよ」

「…レーザー…?そんなことあったっけ?」

「…この馬鹿アリューシャ。お前はもう黙ってろ」

まぁまぁ、ルルシー。そんな怒らないで。

それに、忘れたい事実であることに変わりはない。

「ちょっと前に、帝国自警団とレーザー兵器の騒ぎが起きたの、覚えてない?アリューシャ」

「…?…あぁレーザー兵器なレーザー兵器!あの、そう…この間テレビで観たわ!」

何のテレビを観たんですか?

「…この…馬鹿がっ…」

まぁまぁルルシー。怒らないでって。

良いじゃないですか。折角『青薔薇連合会』に戻ってこられたんだから。

アリューシャの可愛い茶目っ気ということで。

「あの件を明らかにしないことには、君達をみすみす『ブルーローズ・ユニオン』に帰す訳にはいかないんだよ。また同じ手を使われたら困るから」

「…」

「逃げた『M.T.S社』のリーダーと幹部達は?君達が匿ってるんでしょう?」

「…えぇと…」

アイズに問い詰められて、セルテリシアは困惑した表情だった。

…この反応は…。

「あの…先程から一体、何の話でしょうか…?」

…やはり、そう来たか。

これは予想外の展開…いや。

セルテリシアの性格を考えれば、有り得ない話ではないか。

結果論に過ぎないがな。

「お前…!この期に及んで、しらばっくれるな…!」

ルルシーは、ふざけるなとばかりにセルテリシアに詰め寄った。

しかしいくら詰め寄っても、セルテリシアは困った顔をするばかりだった。

「し、しらばっくれてなどいません。レーザー兵器…?『M.T.S社』…?何のことですか…?」

「何のことですか、じゃないだろ。お前が指示して造らせたんじゃないか。あまつさえ、帝国自警団にまで売りつけるなんて…」

「帝国…自警団…?」

何故、今彼らの名前が出てくるのか、とばかりに首を傾げるセルテリシア。

「…?お前じゃないのか?」

「は、はぁ…。ごめんなさい、先程から一体、何の話をしているのか…。私には分かりません」

「…」

あまりにも、セルテリシアが困った顔してるものだから。

さすがのルルシーも、もしかしてセルテリシアは本当に何も知らないのかもしれない、と思い直したらしい。

そして、セルテリシアを責める代わりに、くるりとエペルとミミニアの方を向いた。

「…じゃあ、お前達か?お前達が独断でやったのか?」

『ブルーローズ・ユニオン』の実権を握っているのは、この二人ですからね。

セルテリシアに黙って、ヴァルレンシー派に対する切り札にする為、独断でレーザー兵器を開発させた…。

その可能性は、無きにしもあらず、だが。

「何の話だ。さっきから…レーザー兵器とは何のことだ?」

「それに、『M.T.S社』と『無塵会』が何をしたと?何の報告も受けていないぞ」

「…」

エペルとミミニアも、訳分からんみたいや顔してこの反応。

…おっと。

これは大変…雲行きが怪しくなってきましたね。