そして、当然だが。

「アシュトーリアさんは、決して姿を現さないように隠れていてください」

「…皆が戦おうというのに、私だけが黙って隠れているのは気が進まないわね」

そう言うと思いました。

でも…そうしてもらわなければ困るのだ。

「ましてや、あなたの予想では…ルレイア達の目的はあなたの暗殺なんでしょう?」

「はい、そうです」

「だったら、アイズ。あなたこそ隠れているべきなんじゃないの?」

まさか。

そんなつもりは、小指の先程もなかったよ。

「隠れていて指揮は取れません。リーダーこそ率先して前に出てこそ、部下も信用してついてくる…。あなたが教えてくれたことですよ、アシュトーリアさん」

「…アイズ…」

「『青薔薇連合会』の首領はあなたです。リーダーを潰される訳にはいきません…。それにアシュトーリアさんは、身体だってまだ全快ではないんですから」

私に万が一のことがあっても、最悪、私の代わりになれる者はいる。

だけど、現在『青薔薇連合会』の首領を務めるアシュトーリアさんの代わりは、誰もいないのだ。

それこそ、セルテリシア達サナリ派に、『青薔薇連合会』の実権を奪われてしまう。

それだけは阻止しなくては。

「…分かったわ、アイズ」

アシュトーリアさんは、渋々といった風に頷いた。

「でも、あなたなら万が一のことがあっても構わない訳じゃないから。必ず、生きて私のもとに帰ってきなさい」

それはまた…重大な任務を仰せつかりましたね。

「それで良いわね?」

「…分かりました。必ず」

約束してしまったからには、守らなきゃいけないね。




…さぁ、ルレイア。

これで私は、君の期待に応えられたかな?