…大体。

「俺達、こんなことやってる場合なのか?」

「ほぇ?」

ほぇ?じゃないんだよ、ほぇ?じゃ。

「ルーチェスが単身、セルテリシアと密会しているっていうのに…。俺達もサポートに回るべきなんじゃないのか?」

呑気に映画を観てる場合じゃないだろう。

もう半分以上観てしまってるんだけど。

「サポートって…。ルーチェスに加えて、俺達までコソコソ怪しく動いてたら、エペルとミミニアの耳に届きますよ」

「それはそうなんだが…。でも、ルーチェスの為に何か…」

出来ることがあるんじゃないか、と言おうとしたそのとき。

「こんにちはー。戻りましたよ」

俺達が何かサポートをする前に。

噂をすれば何とやら、ルーチェスが戻ってきた。

「ルーチェス!良かった、戻ったか…。…?」

ルーチェスは何故か、片手にコーラ、片手にポテトチップスの袋を持っていた。

…何故コーラとポテチ…?

「あれ?ルレイア師匠何やってるんですか?」

「映画を観てます。丁度今盛り上がって、面白いところですよ」

「ほう。じゃあ僕も観ましょうかね。はい、丁度コーラとポテチあるので、これでも摘みながら」

ちょっと待て。何普通の顔して俺の横に座ってんだ。

映画を観るより先に、やるべきことがあるだろうが。

「おい、ルーチェス。そんなことよりセルテリシアの、」

「あ、ルルシーさんちょっと、電気消してください」

は?

「ルーチェス、映画は電気消して観る派ですか」
 
「臨場感があって良いでしょう?」

ルレイアとルーチェスは、にこやかに会話しながらポテチを摘み、映画に夢中だった。

…。

…本音を言えば、今すぐテレビのリモコンを引っ掴み。

この趣味の悪い映画の再生を止めて、セルテリシアとの密会はどうなったのか、ルーチェスに根掘り葉掘り尋ねたい。

…それなのに。

「はい、ルルシーさんほら。コーラどうぞ」

「…どうも…」

とりあえず映画を観終わってからってことだな。はいはい、分かったよ。

さっさと終わってしまえ。

こいつらの優先順位、本当どうなってるんだ?