The previous night of the world revolution7~P.D.~

…それにしても。

『青薔薇連合会』の裏幹部と一緒に、手作り料理を囲んで夕食とは。

改めて振り返ってみると、俺、結構大胆なことしてるよなぁ…。

そう考えたら、餃子の味が分からなくなりそうなので。

よし。考えるのやめよう。

ほら、俺とルーチェスさんは、上司と部下である前にお隣さんだから。

これは仕事の付き合いではなく、ただのご近所付き合いだ。

そう思おう。

ルーチェスさんも、特に気にしてなさそうだし…。

そもそも、そんなことを気にしていたら、わざわざうちに来て餃子を包んだりはしないだろう。

おおらかな性格なんだろうな。

さすが、ルレイアさんの弟子である。

餃子くらいで、恩着せがましくしない…。

…ん?

餃子が美味しくて、それどころじゃなかったけど。

俺、何か大切なことを忘れてないか?

あらかた食べて終えてから、俺はようやくそのことに気がついた。
 
「…あの、ルーチェスさん」

改めて、俺はルーチェスさんに声をかけた。

…しかし。

「やっぱりそう思いますか?ルヴィアさんも」

「は?」

何が?

「餃子の皮、出来るだけ生地のもちもち感を追求してみたんですけどね。ほら、僕もちもちした感触好きなんですよ。まるでこう…セカイさんのおっぱいを触ってる気分になるでしょう?」

…えっと。

…何の話ですか?

「ルーチェス君のえっち〜」

「ありがとうございます」

感謝することではないと思うんだけど。

それは褒め言葉なのか?

「でも、揚げ餃子にはもちもちした皮より、薄くてカリッとした皮の方が合いますね」

「は、はぁ」

「次は気をつけますね。今日のところはこれで我慢してもらえませんか?」

いや、俺は別に。

ルーチェスさん作の餃子の皮に文句をつけるつもりで、声をかけた訳じゃないんですが。

それに、もちもち生地も美味しいですよ。

「あの、そうじゃなくて…」

「あ、餃子のタレですか?もっとお酢を効かせた方が好きです?僕自身があまり、酢を強くするのが好きじゃないもので。つい控えめにしてしまったんですが」

「え、あ」

違う。餃子のタレについて文句を言いたかった訳でもなくて。

ルーチェスさんの料理に、ケチなんかつけるはずがないだろう。

「僕のことは気にせず、追加でお酢を入れても良いですよ」

「…あの、餃子のタレの話じゃなくて」

「え?じゃあ麻婆豆腐の話ですか?」

何でそうなるんですか。

麻婆豆腐の話でもなくて。

「…ルーチェスさん、今日はまた…何でこんな餃子パーティーを開いたんですか?」

そもそもあなた、うちに何をしに来たんだ。

まずそこを聞いていなかった。一番に聞くべきだったのに。