The previous night of the world revolution7~P.D.~

いやはや、今になって思えば、僕は皇太子で良かったかもしれない。

うっかりリバニー家の血縁者として生まれてしまったら、望まずにサナリ派のリーダーにされるところだった。

皇太子でさえあんなに面倒だったのに、サナリ派のリーダーなんてもっと面倒に違いないですよ。

色んな規則やら面子やらに束縛されちゃって。

息苦しいにも程がある。

組織の頭なんて、そうそうなるもんじゃないな。

「はい…。皆さんが私に期待してくれるのは光栄なことだと思います。そんな皆さんの期待に…応えられるものならそうしたいと思っています」

あなた、本当に律儀で真面目で、良い人ですね。

僕だったら、「そんなもん知るか!」とやっぱり好き勝手しそうな気がしますけど。

「だけど…私はとても…一人では『ブルーローズ・ユニオン』の代表さえ務まらない。『青薔薇連合会』の首領なんてとんでもない。考えるだけで足が竦む思いなんです」

それは本当に、リーダーには向いてないですね。

そして、リーダーがそのような弱みを見せれば、あっという間に他組織に付け込まれる。

「私が今『ブルーローズ・ユニオン』の代表をかろうじて務めているのは、全てエペルとミミニアが私を支えてくれているからです」

「彼らが摂政を務めてくれてるんですね?」

「はい。先代の『ブルーローズ・ユニオン』代表が亡くなった後、まだリーダーに就くには幼かった私の為に…」

成程。

『ブルーローズ・ユニオン』の代表、ひいてはサナリ派の代表はセルテリシアとされているが。

その実、実権を握っているのはあの側近二人、エペルとミミニアなのだと分かってはいたが…。

セルテリシア自身も、その自覚はあったらしい。

自分が所詮、お飾りのリーダーであると。

つくづく…自分の身の程をよく分かっている。

セルテリシアがリーダーに相応しくない器なのは確かだが、それだけは評価に値する。