The previous night of the world revolution7~P.D.~

ここまで「懐柔」出来れば、あとは勝手にセルテリシアが喋ってくれる。

「大叔父様がどれほど立派な方だったかを、知れば知るほど…サナリ派の皆さんに期待されればされるほど…私は心が苦しくなるのです」

よしよし、良い調子。

その調子で、どんどん本音を喋ってくださいね。

「私は、旧『青薔薇連合会』派…サナリ派の代表として、皆を力強く率いるように期待されています」

「えぇ、そうですね」

「だけど私は…私には、大叔父様のような力はない。器ではないんです。立派な指導者だったのは大叔父様であって、私ではない。いくら血縁者でも…私と大叔父様は、別の人間ですから…」

「えぇ。分かりますよ」

僕は適当に、それっぽく相槌を打ってセルテリシアを促した。

え?詐欺師みたいなやり口だって?

それは褒め言葉だと思っておきますね。

「でも…リバニーの家の血を継ぐ者は、私の他にいません。だからサナリ派は、私を担ぐしかなくて…」

「そうだったんですね」

「望まずに『ブルーローズ・ユニオン』の代表になってしまったんです。そんな器ではないのに…」

「分かりますよ。本人の意志ではなく、『正しい』血を継いでいるかが肝心なんですよね」

ベルガモット王家と一緒だな。

王家の血筋であれば、本人の意志は関係なく、王族として相応しい振る舞いを要求される。

僕も、そのしがらみにほとほとうんざりして、家出したクチですから。

気持ちはよく分かりますよ。

ただし、僕とセルテリシアで違うところがあるとしたら。

僕の場合は家出しようがマフィアに入ろうが、自分の問題だけで済んだけれど。

セルテリシアの場合、彼女の後ろには『ブルーローズ・ユニオン』という組織がある。

更に『ブルーローズ・ユニオン』の後ろには、数多くのサナリ派の組織が控えているのだ。

彼女の両肩には、それらの組織に所属する全ての構成員の期待が乗っているのだ。

僕のように好き勝手には出来ない。

実に気の毒ですね。