The previous night of the world revolution7~P.D.~

これは期待出来そうだ。

「あなたも辛い思いをしてるんですよね。…組織のリーダーとして、常に毅然であらなければならないと…」

「…はい、そうです」

素直に認めた。

今僕は、セルテリシアの心の奥に触れているらしい。

「最初に『青薔薇連合会』に、アイズさんに会いに来たときは、随分と偉そうと言いますか…堂々としていたように見えたんですが」

散々煽ってきてましたよね、あなた。

お陰で、初対面の印は最悪だった。

意地の悪い女だと思わせておいて、しかし蓋を開けてみて出てきたのは。

傲岸不遜とは程遠い、おどおどと周りの顔を伺う少女だった。

「あれは…エペルとミミニアに、そのように振る舞うように言われて…」

台本が用意されてたんですか。こう言うように、って。

「アイズレンシアさんに舐められないように、不遜な態度で臨むように、と…」

「確かに、あのときの印象は最悪でしたね。クソ生意気な小娘って感じで…」

おっと、つい本音が。

逆ギレされてもおかしくないところだったが、セルテリシアは少しも気を悪くした様子はなく。

むしろ、申し訳無さそうに目を伏せていた。

成程、クソ生意気な小娘を演じた自覚はあるらしい。

これがセルテリシアの素の姿か。

エペルとミミニアが付きっきりなのも理解出来る。

誰かが手綱を握ってやらないと、彼女はおよそ、マフィアのリーダーに相応しい気質ではない。

懐は広いのだが、そもそも他人にあれこれ、不遜な態度で命令するタチではないのだ。 

「アイズレンシアさんには…失礼なことをしてしまったと思っています。…それに…アシュトーリアさんにも…」

と、セルテリシアは消え入りそうな声で言った。

「…ちなみに聞いておきますけど、アシュトーリアさんの暗殺を目論んだのは…」

「えぇ、あれは『ブルーローズ・ユニオン』の仕業です」

まぁ、知ってましたけど。

やはり本人の口から聞きたかった。

「…提案したのはセルテリシアさんですか?」

「いいえ。実行の許可を下したのは私です。しかし…彼女の暗殺を最初に提案したのは…エペルです」

またか。

側近二人の名前ばかりが出てくる。