「えぇ。僕は確かに、王室に関わる人間でした」
「やはりそうだったんですね。それは…どのような立場で?もしかして…アルティシア女王の遠縁…とか?」
遠縁どころか、ガッツリ兄弟でしたよ。
実の姉弟の関係でした。
「関係者どころじゃないですよ。皇太子だったんです」
「…えっ?」
このときのセルテリシアの、間の抜けた顔と言ったら。
『ブルーローズ・ユニオン』の代表に相応しくない、と言われても文句は言えないほどの間抜け面。
年相応で良いんじゃないでしょうか。
「前女王ローゼリアと、現女王アルティシアの弟です」
「…!そんな、まさか…」
「本当ですよ。こう見えて僕、高貴な王子様だったんです」
何なら白馬で迎えに来ても良いんですよ。
白ヘリで迎えに上がっても良いです。箱庭帝国まで。
「…でも…アルティシア女王に弟がいるなんて、そんな情報は…」
「王家は秘密主義ですから。暗殺や陰謀を防ぐ意味で、皇女や皇太子の存在は基本的に明らかにされないんです」
実際、馬鹿姉のローゼリアが「事件」を起こして引退し、次女のアルティシアが女王になったとき。
アルティシアの突然の登場に、「こんな人いたのか」と国民達は驚いていた。
元々、長姉と比べて影が薄いですからね、アルティシアは。
「ましてや僕は、姉達と違って出自が少し特殊だったので…。余計隠されていたんです」
知る人ぞ知る皇太子だった訳です。
僕がレスリーの言いつけを無視して、好き勝手やれたのは、それが理由でもある。
「そうだったんですね。でも…それならどうして…王家を飛び出して『青薔薇連合会』に…?」
当然の疑問だ。
皇太子からマフィアの幹部に。僕ほど大胆な家出をした人間は、ルティス帝国広しと言えどもなかなかいない。
ルレイア師匠くらいだろうか。僕と張り合えるのは。
「生まれたときから、ありとあらゆるしがらみに囚われて、雁字搦めで生きるのが嫌だったんです」
常に手錠と足枷と首輪を嵌められている気分だった。
そういうプレイは嫌いじゃないですが、真っ昼間から一日中拘束された状態じゃ、息苦しいにも程がある。
「自分の運命を、他人に決められるなんてまっぴら御免でしたから。自分の人生を自分で決める為、自分の居場所を自分で作る為に、僕は王家を捨てたんです」
「…」
「…だから、あなたの気持ちはよく分かりますよ。組織に雁字搦めにされて、自分の生き方を自由に選べないその息苦しさを…あなたも感じてるんですよね?セルテリシアさん」
僕がそう言うと、セルテリシアはハッとして、そして拳を握り締めた。
…やはり、僕の見立て通りだったようだな。
「話してもらえませんか。恐らく僕は…あなたの気持ちが理解出来る、数少ない仲間だと思います」
「…ですが…私がそのような弱みを見せては、リーダーとして示しが…」
なんてことを言ってる時点で、リーダーとしての威厳なんて感じられませんけど。
「確かにあなたは『ブルーローズ・ユニオン』のリーダーです。僕の上司です。でも…その前に、同じ組織に所属する仲間じゃありませんか」
僕は、まるでベッドの上にいるかのように優しい声で言った。
「他人に弱さを見せられるのは、強さの証ですよ」
という、僕の一言が決定打になった。
セルテリシアは、意を決したように顔を上げた。
「やはりそうだったんですね。それは…どのような立場で?もしかして…アルティシア女王の遠縁…とか?」
遠縁どころか、ガッツリ兄弟でしたよ。
実の姉弟の関係でした。
「関係者どころじゃないですよ。皇太子だったんです」
「…えっ?」
このときのセルテリシアの、間の抜けた顔と言ったら。
『ブルーローズ・ユニオン』の代表に相応しくない、と言われても文句は言えないほどの間抜け面。
年相応で良いんじゃないでしょうか。
「前女王ローゼリアと、現女王アルティシアの弟です」
「…!そんな、まさか…」
「本当ですよ。こう見えて僕、高貴な王子様だったんです」
何なら白馬で迎えに来ても良いんですよ。
白ヘリで迎えに上がっても良いです。箱庭帝国まで。
「…でも…アルティシア女王に弟がいるなんて、そんな情報は…」
「王家は秘密主義ですから。暗殺や陰謀を防ぐ意味で、皇女や皇太子の存在は基本的に明らかにされないんです」
実際、馬鹿姉のローゼリアが「事件」を起こして引退し、次女のアルティシアが女王になったとき。
アルティシアの突然の登場に、「こんな人いたのか」と国民達は驚いていた。
元々、長姉と比べて影が薄いですからね、アルティシアは。
「ましてや僕は、姉達と違って出自が少し特殊だったので…。余計隠されていたんです」
知る人ぞ知る皇太子だった訳です。
僕がレスリーの言いつけを無視して、好き勝手やれたのは、それが理由でもある。
「そうだったんですね。でも…それならどうして…王家を飛び出して『青薔薇連合会』に…?」
当然の疑問だ。
皇太子からマフィアの幹部に。僕ほど大胆な家出をした人間は、ルティス帝国広しと言えどもなかなかいない。
ルレイア師匠くらいだろうか。僕と張り合えるのは。
「生まれたときから、ありとあらゆるしがらみに囚われて、雁字搦めで生きるのが嫌だったんです」
常に手錠と足枷と首輪を嵌められている気分だった。
そういうプレイは嫌いじゃないですが、真っ昼間から一日中拘束された状態じゃ、息苦しいにも程がある。
「自分の運命を、他人に決められるなんてまっぴら御免でしたから。自分の人生を自分で決める為、自分の居場所を自分で作る為に、僕は王家を捨てたんです」
「…」
「…だから、あなたの気持ちはよく分かりますよ。組織に雁字搦めにされて、自分の生き方を自由に選べないその息苦しさを…あなたも感じてるんですよね?セルテリシアさん」
僕がそう言うと、セルテリシアはハッとして、そして拳を握り締めた。
…やはり、僕の見立て通りだったようだな。
「話してもらえませんか。恐らく僕は…あなたの気持ちが理解出来る、数少ない仲間だと思います」
「…ですが…私がそのような弱みを見せては、リーダーとして示しが…」
なんてことを言ってる時点で、リーダーとしての威厳なんて感じられませんけど。
「確かにあなたは『ブルーローズ・ユニオン』のリーダーです。僕の上司です。でも…その前に、同じ組織に所属する仲間じゃありませんか」
僕は、まるでベッドの上にいるかのように優しい声で言った。
「他人に弱さを見せられるのは、強さの証ですよ」
という、僕の一言が決定打になった。
セルテリシアは、意を決したように顔を上げた。


