The previous night of the world revolution7~P.D.~

さて、掴みは完璧だ。

早速会話を広げていくとしよう。

「こう見えて僕も、かつてはそこそこ高貴な生まれだったもので、こういう庶民的なジュースやお菓子はお目にかかれなかったんです」

「そうなんですか?」

「えぇ。カップラーメンを初めて食べたのも、最近なんです」

思い出す、あのときの感動。

何故もっと早く食べなかったのか、後悔するほどだった。

「カップラーメンですか…。私は食べたことがありません」

案の定セルテリシアも、かつての僕と同じく「箱入り」だったらしい。

不思議なもんだ。

ベルガモット王家の皇太子と、『ブルーローズ・ユニオン』のリーダー。

全く正反対の立場だろうに、自由に口に入れるものを選ばせてもらえないという点においては、共通しているのだから。

「美味しいんですけどねぇ。今度食べてみると良いですよ」

「はい。でも…そういうものは何が入っているか分からないから駄目だと、ミミニアに叱られそうです」

厳しいことで。

生身の人間が作る料理の方が、調理過程で異物を混入される恐れが大きいと思うんですけど。

そういうことじゃないんでしょうね。レスリーがよく言ってましたけど。

高貴な生まれの人間には、それ相応の振る舞いをしなきゃならないんだそうですよ。

カップラーメンもコーラもポテトチップスも、下賤の食べ物だから駄目なんだそうです。

下らないですよね。

カップラーメンすら食べたことのない人間が、一般市民に好感を持たれるはずないじゃないですか。 

「分かりますよ。僕も散々そう言って叱られましたから」

それでも僕はやんちゃな子だったので、抜け出してあれこれ食べてましたけどね。

ファミレスでハンバーグとか。

でもセルテリシアは、僕のように反抗することはないらしい。

大人しい「良い子」じゃないですか。

それで人生、楽しいんですかね?