The previous night of the world revolution7~P.D.~

「ちょっとルヴィアさん、ルーチェスさんの邪魔をしないでください。餃子が焦げるでしょう」

「えっ、あっ」

フューニャが口を尖らせて、俺を嗜めた。

そりゃ確かに俺は、餃子の焼き方なんて心得てないけども…。

…普通に焼けば良いんじゃないのか?

しかし。

「ほら、駄目ですよ。水を入れて蒸し焼きにしないと」

「えっ?」

み、水を入れるのか?

「ほら、もうこっちは焼けましたよ。火を止めないと」

「え…。これとこれは違うものなんですか?」

「はい。こっちはトマトチーズ餃子、こっちはカレー餃子。こちらは余りの餃子の皮で作った、餃子ピザです」

そ、そんな多彩な。

「それらの変わり種餃子は、全てルーチェスさんが作ってくださったんですよ」

と、フューニャが教えてくれた。

そ、そうなんだ。

「おまけに、餃子の皮まで1から作ってくださったんです。本当に、立派な旦那さんで…」

グサッ。

そ、そんな泣きそうになりながら言わなくても。

お隣の旦那に比べて、うちのは…って思ってるんだろう。誠に申し訳ない。

俺と来たら、折角の変わり種餃子を、危うく焦がすところだったからな。

そりゃフューニャが泣きたくなるのも分かる。

「いえいえ、お安い御用ですよ。それに、これは全部本の受け売りですから」

「本…?」

「『猿でも分かる!餃子の作り方』という本でして」

よくそんな本を持っていましたね、ルーチェスさん。

俺も読ませてもらって良いですか。後学の為に。

「ルヴィア君も私と一緒に、味見係しようよ」

「…はい…」

セカイさんに言われ、俺は大人しく椅子に座った。

…こと料理をすることにおいて、俺が手を出すとろくな結果にならない。

それが分かっている以上、手も口も出せなかった。

料理上手なフューニャとルーチェスさんに、全てを任せるしかない。

…役立たずで済みません。本当。

お二人に全てお任せします。

「フューニャさん。折角なんで、うちから材料持ってきて麻婆豆腐作って良いですか?」

「勿論です。では、私はその間に中華スープを作りましょう」

何だか、凄く豪華な中華料理パーティーになりつつある。

手伝ってあげたいのは山々なのだが、俺に出来るのは精々味見係くらい…。

チラッ、と横を見ると。

「ルーチェス君!ルーチェス君、良かったら私もてつだっ、」

「ありがとうございます。じゃあそこで僕を応援しててください」

「ルーチェス君〜っ」

…味見係兼、応援係ということで。

俺とセカイさん、二人の料理出来ない組は…せめて邪魔をしないよう、大人しく見守っておこう。