家の中にフューニャの姿を見つけて、ひとまずは安心したが。
…それで。
何でここに、アンブローシア夫妻が…?
しかも。
「はい、フューニャさん。こっち終わりましたよ」
「ありがとうございます。とても助かります」
「お気になさらず。そろそろ焼いて良いですか?」
「そうですね。私がやりましょう」
「いえ、僕がやりますよ。この時期は台所に立つと暑いですからね」
「全くです。では、お任せしても?」
「お任せください」
…何故かルーチェスさんは、フューニャと和気あいあいと喋っていた。
何だろう。このもやもや感。
そこは俺の居場所のはずなんだけど?
「では、私はその間…」
「そっちを包んでもらえますか?途中まではやったんですが、まだタネが残ってて」
「分かりました」
フューニャは腕まくりをして、薄くて丸い餃子の皮を手に取った。
…餃子の皮?
よくよく見たら、大きなお皿いっぱいに、うず高く盛られている白い小さな塊。
あれは餃子である。
「…餃子…?」
「えぇ、餃子です」
慣れた手付きでフライパンを動かしながら、ルーチェスさんが言った。
…何処からどう見ても、餃子ですね。
「フューニャさんに会いに来たら、今夜は餃子だってことで準備していたので、手伝わせてもらうことにしたんです」
「良かったねー、ルヴィア君。今日は餃子パーティーだよ」
ルーチェスさんとセカイさんが言った。
あ、成程そういうことか。
ようやく話が理解出来てきた。
何らかの用事があって、ルーチェスさんとセカイさんはうちにやって来て。
丁度そのとき、フューニャは夕食の準備の為に、餃子を作っているところだった。
で、折角だから「一緒にどうですか」という話になって、ルーチェスさんが夕食の支度を手伝ってくれていると…。
成程…。
…。
…って、俺は何を一人で納得してるんだ。
「フューニャさん、これ羽根付きにして良いですよね?」
「えぇ、お願いします」
「じゃ、ちょっと小麦粉お借りしますね」
小麦粉お借りしますね、じゃないんですよルーチェスさん。
我に返った俺は、慌ててルーチェスさんを止めに入った。
「ちょ、ちょっとルーチェスさん、やめてください」
「え、何でですか?羽根付き餃子、嫌いですか?水餃子にしましょうか?」
そういう問題じゃないし、羽根付き餃子は普通に好きです。
そうじゃなくて。
「ルーチェスさん、よしてください。そういうことは俺がやりますから…」
ルーチェス・アンブローシアと言えば、最早『青薔薇連合会』で知らない者はいない。
あのルレイア・ティシェリーの愛弟子。『青薔薇連合会』初、『裏幹部』の称号を持つ者。
神秘のベールに包まれた彼の実力は、誰もが噂するところである。
裏幹部とはいえ、ルーチェスさんは『青薔薇連合会』の幹部とほぼ同等の権威をお持ちだ。
俺の直接の上司は、ルルシーさんだけど。
しかし幹部クラスとなると、俺の上司も同然。
まさか、幹部であるルーチェスさんに餃子を焼かせる訳にはいかない。
そういうことは俺が代わりにやるから、ルーチェスさんは座って待っていてくれたら…。
…と、思ったのだが。
…それで。
何でここに、アンブローシア夫妻が…?
しかも。
「はい、フューニャさん。こっち終わりましたよ」
「ありがとうございます。とても助かります」
「お気になさらず。そろそろ焼いて良いですか?」
「そうですね。私がやりましょう」
「いえ、僕がやりますよ。この時期は台所に立つと暑いですからね」
「全くです。では、お任せしても?」
「お任せください」
…何故かルーチェスさんは、フューニャと和気あいあいと喋っていた。
何だろう。このもやもや感。
そこは俺の居場所のはずなんだけど?
「では、私はその間…」
「そっちを包んでもらえますか?途中まではやったんですが、まだタネが残ってて」
「分かりました」
フューニャは腕まくりをして、薄くて丸い餃子の皮を手に取った。
…餃子の皮?
よくよく見たら、大きなお皿いっぱいに、うず高く盛られている白い小さな塊。
あれは餃子である。
「…餃子…?」
「えぇ、餃子です」
慣れた手付きでフライパンを動かしながら、ルーチェスさんが言った。
…何処からどう見ても、餃子ですね。
「フューニャさんに会いに来たら、今夜は餃子だってことで準備していたので、手伝わせてもらうことにしたんです」
「良かったねー、ルヴィア君。今日は餃子パーティーだよ」
ルーチェスさんとセカイさんが言った。
あ、成程そういうことか。
ようやく話が理解出来てきた。
何らかの用事があって、ルーチェスさんとセカイさんはうちにやって来て。
丁度そのとき、フューニャは夕食の準備の為に、餃子を作っているところだった。
で、折角だから「一緒にどうですか」という話になって、ルーチェスさんが夕食の支度を手伝ってくれていると…。
成程…。
…。
…って、俺は何を一人で納得してるんだ。
「フューニャさん、これ羽根付きにして良いですよね?」
「えぇ、お願いします」
「じゃ、ちょっと小麦粉お借りしますね」
小麦粉お借りしますね、じゃないんですよルーチェスさん。
我に返った俺は、慌ててルーチェスさんを止めに入った。
「ちょ、ちょっとルーチェスさん、やめてください」
「え、何でですか?羽根付き餃子、嫌いですか?水餃子にしましょうか?」
そういう問題じゃないし、羽根付き餃子は普通に好きです。
そうじゃなくて。
「ルーチェスさん、よしてください。そういうことは俺がやりますから…」
ルーチェス・アンブローシアと言えば、最早『青薔薇連合会』で知らない者はいない。
あのルレイア・ティシェリーの愛弟子。『青薔薇連合会』初、『裏幹部』の称号を持つ者。
神秘のベールに包まれた彼の実力は、誰もが噂するところである。
裏幹部とはいえ、ルーチェスさんは『青薔薇連合会』の幹部とほぼ同等の権威をお持ちだ。
俺の直接の上司は、ルルシーさんだけど。
しかし幹部クラスとなると、俺の上司も同然。
まさか、幹部であるルーチェスさんに餃子を焼かせる訳にはいかない。
そういうことは俺が代わりにやるから、ルーチェスさんは座って待っていてくれたら…。
…と、思ったのだが。


