「あのときと…『ルティス帝国を考える会』や、『帝国の光』に潜入していたときと同じだな」

「だが、あのときは後ろ盾があった。帝国騎士団の協力も」

ルリシヤがそう言い、私も頷いて答えた。

状況は確かにあのときに似てるけど、今はあのときより、更に危険な綱渡りだ。

『青薔薇連合会』と縁を切った…振りをしている以上。

ルレイア達は、潜入中、もし何か不測の事態が起きたとしても、私達に助けを求めることが出来ない。

私達としても、助けたくても助けられない。

下手に手助けをしたのがバレたら、ルレイア達の裏切りがバレてしまう。

従って彼らは、もし困ることがあっても、全部自分達だけで全て対処しなければならない。

相当危険な綱渡りだ。

手を貸してあげられるものなら、いくらでも貸すのだが…。

手を貸すどころか、お互いに連絡を取り合うことも出来ない。

『ブルーローズ・ユニオン』に迎え入れられたとはいえ、ルレイア達は完全にセルテリシアの信用を得たとは言えないだろう。

きっとしばらくは、ルレイア達の一挙一動を常に監視されるはずだ。

私達に連絡を入れるなど、とんでもない。

孤立無援状態だ。

例え孤立無援だろうと、ルレイア、ルルシー、ルーチェスの三人が揃って、彼らをどうにかすることは出来ないと思うけど…。

…それでも、危険であることに変わりはない。

私達が助けてあげられないという事実も変わらない。

…しばらくは、気の抜けない状態が続きそうだ。

「…信じてるよ、ルレイア。ルルシー、ルーチェス…。君達のことを」

彼らが勇気を振り絞って、ここまでの危険を犯してくれたのだ。

私達もまた、その思いに応えよう。