――――――…ルレイア、ルルシー、ルーチェスの三人が、『ブルーローズ・ユニオン』に腰を落ち着けていたその頃。

『青薔薇連合会』では。

「マジで…!?じゃあルレ公達は、本気で裏切った訳じゃないってこと?」

「あぁ。あれは演技だ。怪しまれずに『ブルーローズ・ユニオン』に潜入する為のな」

ルレイアに撃たれたはずなのに、ルリシヤは、けろっとして平然とそう言った。

…そっか。

それは…安心したよ。

「…良かった。良かった…!」

シュノは涙を溢れさせて、その場に崩れ落ちた。

さっきも泣いていたけど、今度は裏切られた悲しみの涙ではない。

安堵と喜びの涙だ。

「そんなことだろうと思った。彼らなら…」

私は泣き崩れるシュノを支えながら、ホッと一息ついた。

良かったよ。

信じてはいたけど…本人から確証を得られた訳じゃなかったから。

万が一、本当に彼らが寝返ることがあったら…と、気が気ではなかった。

信じなかった私が馬鹿だったね。

アシュトーリアさんがあんなことになって、立て続けに色々起こっていたせいで、私も疑心暗鬼になっていたのかもしれない。

でも、こんなときだからこそ信じなくては。

私の傍にいる、大切な仲間というものを。

「あいつら、ちくしょーアリューシャを騙しやがって!帰ってきたら一発ぶっ飛ばしてやるからな!」

アリューシャも悪態をつきながら、その顔は綻んでいた。

さっきまでお通夜みたいな空気だったのが、今では希望が生まれた。

「でも…喜んでばかりもいられないね」

「そうだな」

ルレイア達が裏切った訳じゃない。それが分かって安心した。

でも…そうなると、ルレイア達は今『ブルーローズ・ユニオン』で、針のむしろのような状態で過ごしているということだ。

彼らが演技していることを、本気で裏切った訳ではないことを、決して『ブルーローズ・ユニオン』の構成員に知られてはいけない。

ましてや、セルテリシアにバレるようなことがあれば。

彼らが『ブルーローズ・ユニオン』で、どんな目に遭わされるか。

そう思うと、心穏やかではいられないね。