「おぉ、やるやる!トランプってあれだろ?ルリ公がよくマジックで使うカード!」

「そうだよ」

トランプを使ったマジックは、定番中の定番だもんね。

生憎私は、マジックは出来ないんだけど…。

ルリシヤが来たらやってもらおうか。アリューシャも喜ぶし。

「何をやろうか?神経衰弱?ババ抜き?」

「神経衰弱…は、アリューシャには難しいんじゃないかな」

と、シュノ。

そうだね。アリューシャの頭がパンクしちゃいそう。

「じゃ、ババ抜きにしようか。アリューシャ、ババ抜き分かる?」

「おう、知ってるぞ!ジョーカーを皆で奪い合って、最後までジョーカーを守った奴が勝つんだろ?」

それは凄く斬新なババ抜きだね。

まぁ、ジョーカーを押し付け合うゲームより、ジョーカーを守り抜くゲームの方が…何て言うか、優しい世界だよね。

アリューシャは優しい子だよ。

「シュノ。今回は特別にアリューシャルールでやっても良い?」

正しいババ抜きのルールを、アリューシャに教えてあげても良いんだけど。

折角だから、今回はアリューシャ考案の特別ルールでやってみようか。

意外と楽しいかもしれない。ジョーカーを奪い合うババ抜き。

いや、それはババ抜きと呼べるのだろうか。

「うん、良いよ」

シュノも苦笑いをしながら頷いた。

新感覚だね。

私はデックの中からジョーカーを一枚抜き、丁寧にシャッフルして、カードを伏せたまま一人ずつ配ろう…と。

した、そのときだった。   





「アイズさん!アイズレンシアさん…!大変です!」

血相を変えた構成員が一人、ノックもなしに私の部屋に飛び込んできた。