The previous night of the world revolution7~P.D.~

何だかんだ言いつつも。

ルルシーは、貝殻拾いをする俺の横で、一緒にしゃがんでいた。

こういうの付き合ってくれるから、ルルシーは好きだよ。

「…それにしても、さっきのレース」

と、ルルシーが切り出した。

お?

「まだ気にしてるんですか?」

最下位だったことを?

そんなの気にしなくても、ルルシーはいつだって、俺の中で永遠の不動の一位なんですよ。

「いや、気にしてはいないが…。ルーチェスが」

「ルーチェス?」

「ルーチェスがいたら、随分順位変わってただろうな、と思って」

「…あー…」

それはそうでしょうね。

もしかしたら、優勝商品のアリューシャの貝殻をもらっていたのは、俺じゃなくてルーチェスだったかも。

その可能性は充分にある。

「あいつ、お前やルリシヤと同じで、何でも得意だからな…。泳ぐのも得意そうだ」

「でしょうね」

一位じゃなくても…上位争いをしていたのは間違いないだろう。

そう思うと、ちょっと惜しかった気がしますね。

「ルーチェスも、一緒に来られたら良かったんですけどね」

「そうだな…。でも、あいつはあいつで…いや、あいつらはあいつらで、それなりに楽しんでると思うぞ」

「そうでしょうね」

『青薔薇連合会』の裏幹部であるルーチェスは、今日この場にはいない。

え?ルーチェスだけ仲間外れにしたのか、って?

そんなはずないでしょう。

ルーチェスは、謂わば…別行動中だ。

今頃ルーチェスもルーチェスで、今日俺達が来たのとは別の海水浴場で、海水浴を楽しんでいるはずだ。

ただ、一緒に行くメンバーが違う。

ルーチェスは、自分の嫁と…それからもう一組。

ルーチェスのご近所さんだという、ルルシーの派閥の準幹部夫妻。

そう、ルヴィアさんのところの、クランチェスカ夫妻と共に…四人で海水浴に行っているのである。

ルーチェスがこの場にいないのは、その為だ。

今頃ルーチェスは、自分の嫁と、それからクランチェスカ夫妻を交えて…イチャイチャ海水浴デートを楽しんでいることだろう。

今の俺とルルシーのようにな。

「今頃何してるでしょうね?彼ら」

「さぁな…。あいつら、仲良いからな。きっと楽しんでるだろう」

そうだと良いですね。

ルーチェスと一緒に来られなかったのは、残念ですが。

向こうは向こうで楽しんでいると思えば、たまには別行動でも良かったかなと。

嫁の水着姿を見る為ですからね。別行動でも仕方ない。

きっと今頃ルーチェスも、嫁の水着姿を前に涎を垂らしている頃だろう。

…今の俺のようにな。