よくよく考えてみてくださいよ。

たった今、俺とルルシーとルーチェスは、セルテリシアの部下になったんですよ?

対するルリシヤは、セルテリシア率いるサナリ派に敵対する、新『青薔薇連合会』派の幹部である。

つまり、この瞬間に俺達とルリシヤは、雌雄を決する仲となった訳だ。

…ふむ。

…セルテリシアに忠誠を示す、良い機会かもしれないな。

早速、『ブルーローズ・ユニオン』の幹部として…「功績」を上げさせてもらうとしよう。

俺は、素早くホルスターから拳銃を抜き取った。

誰もが身構えるその前に、俺はその引き金を引いた。

淡々と。日々のルーティーンをこなすように。

『青薔薇連合会』の幹部だった自分に、別れを告げるように。

「っ、ルレイア…!?」

ルルシーは驚愕に目を見開いていたが、もう遅い。

弾丸で撃ち抜かれたルリシヤは、その場にバタリと倒れた。

はい、ご愁傷様。

真っ赤な鮮血が、ルリシヤの胸元からどくどくと流れ出していた。

これにはルルシーも、セルテリシアも驚愕を隠せていなかった。

さすがと言うべきか、ルーチェスだけは全く動じていなかったが。

「ルレイア、お前…何で」

ルルシーが呆然と呟いた。

何でって、あなた…。

「だって、彼はもう敵じゃないですか。始末出来るときに始末しておかないと。…彼は非常に厄介な幹部ですしね」

奇策を用いて戦うのが得意なルリシヤと、正面からぶつかって勝利するのは非常に面倒だ。

ルリシヤが『青薔薇連合会』の幹部として、大変厄介な存在であることは、この場にいる誰もが知っている。

だったら、油断している今、さっさと始末しておくべきだ。

今後、アイズ率いる『青薔薇連合会』とぶつかったときに備えて、一人でも多くの敵の戦力を潰しておきたい。

面倒な手間をかけられたんじゃ、堪りませんからね。

「彼には退場してもらった方が良いでしょう。まともに戦ったら、厄介極まりないですし」

「…それは…」

「それに、早速『功績』を上げてみせましたよ、セルテリシアさん」

俺は、新たな上司に向かって微笑んでみせた。

「強力な敵の幹部を一人、始末しました。これで俺の忠誠心を信じてもらえますかね?」

「…はい」

セルテリシアは小さく、こくりと頷いた。

もっと喜んでくださいよ。こんなに働き者の幹部は他にいませんよ?

…まぁ良い。

「長居は無用ですね。早いところこの場から去りましょう」

「そうですね、さようならルリシヤさん。来世でまた会いましょう」

「…」

ルーチェスは気楽に、ルリシヤにひらひらと手を振り。

ルルシーはちらりとルリシヤを一瞥して、それから憂いを断ち切るように背中を向けた。