「さて…どうします?」

尾行に気づいた以上、素直につけられてやる理由はなかろう。

まさか、家までご案内したくもないしな。

向こうから仕掛けてくるのを待っても良いが…。

「セオリー通りだと…。四人バラバラに散って、尾行を撹乱して撒くか…」

と、ルルシーは言った。

まぁ、このメンバーなら余裕でしょうね。

職業柄、尾行されるのは慣れている。

慣れたくないですけどね、こんなことは。

ましてや俺は、ほら。ルティス帝国の人気者ですから。

よく色んな男や女に狙われるんですよ。いやぁモテる男は困りますね。

だから、尾行を撒くのは簡単だ。

…しかし。

「もっと良い方法がありますよ。俺達四人が揃っているなら」

尾行を撒くだけなら、もし一人だったとしても余裕だろう。

でも…今の俺は一人ではない。

ルルシー、ルリシヤ、ルーチェスという黄金のメンバーが一緒にいる。

だったら、尾行を撒くだけではなく…もっと大胆に動いても良いのでは?

この場で撒いたとしても、またいつ後ろをつけられるか、分かったものじゃないからな。

二度目がないよう…徹底的に「痛い目を見て」もらおうじゃないですか。

「そこのT字路を使いましょう。俺とルルシーが左、ルリシヤとルーチェスは右で」

「ふむ、了解だ」

「お任せ下さい」

あとは、あの車両が交差点の真ん中に来るのを待ちましょう。

「…やり過ぎるなよ?ルレイア」

「俺を誰だとお思いで?ルルシー」

そりゃもう、ド派手にぶん殴るに決まってるでしょう?

突き当りの交差点に差し掛かるなり。

打ち合わせ通り、俺とルルシーは交差点を左に。

ルリシヤとルーチェスは右に、素早く駆け出した。