「…ね、ねぇ。本当に…」

「はい?」

弱気な心を起こした私は、おずおずとエペルとミミニアに尋ねた。

「本当にこんなことをして良いの…?私より…経験豊富なアイズレンシアさんの方が、次期首領に相応しいんじゃ…」

などと、失言してしまったのが悪かった。

エペルもミミニアも、とんでもないと言わんばかりに目を見開いた。

「何をおっしゃいます、セルテリシア様!弱気になってはいけません」

エペルのその気迫に、私は思わず言葉を詰まらせた。

「貴方様は、偉大な『青薔薇連合会』の祖たるサナリ・リバニー様の血縁者なのですよ。貴方様をおいて、他に『青薔薇連合会』の首領に相応しい者がありますか」

「そ、それは…。でも…」

「サナリ様も、何処ぞの馬の骨とも分からぬ貧民街上がりの幹部より、血の繋がった貴方様に首領の座を継いで欲しいと思っていらっしゃるに違いありません」

エペルに続いて、ミミニアにも強い口調でそう言われ。

思わず、私は何も言えなくなってしまった。

「『青薔薇連合会』の首領として最も相応しいのは、セルテリシア様をおいて他におりません。もっと自信を持って、威厳のある態度で臨んでくださいませ」

「…はい」

私は小さな声で返事をした。

…そう、だよね。

それが正しいんだよね…。私より遥かに賢い、この二人がそう言うなら…。