The previous night of the world revolution7~P.D.~

一斉に泳ぎ出して、全員が沖に辿り着き、そのまま浜辺に戻ってきた。

海で泳ぐのは久し振りで、最初は少し戸惑ったが。

10メートルほども泳ぐと、感覚を取り戻してきた。

プールとはまた違った体験。なかなか楽しかった。

で、レースの結果がどうなったのかと言うと。

「ふむ…2位か。薫陶したな」

仮面をくいっ、と指先で上げて、ルリシヤがそう言った。

そう、ルリシヤは2番。

そして、そのルリシヤと僅差で3位になったのが…。

「うぅ…。いまいちだった…」

しょぼん、と落ち込むシュノさんである。

プールなら負けなかったと思うが、海だと調子が出なかったのだろうか。

「途中で足が吊りそうになって、思いっきり泳げなかったの」

と、いうトラブルに見舞われたらしい。

それは気の毒な。

そんなトラブルがなかったら、もしかしたら順位は変わっていたかもしれないな。

で、4位…つまりビリになったのは。

「…何となく結果は読めてたから、落ち込みはしないな」

「元気出してください、ルルシー…!」

以前と同じく、ルルシーが最下位だった。

最下位とはいえ、そんなに差はないのだが。

「さすがに相手が悪いよ、ルルシー」

ストップウォッチ代わりのスマホを持ったまま、アイズが言った。

まぁ、確かにそうだな。

俺もルリシヤもシュノさんも、それなりに泳ぎには自信があるので。

このメンバーで競争したら、そりゃこうなる。

ルルシーが特別、泳ぐのが下手という訳じゃない。

ルルシーが遅いんじゃなく、他のメンバーが速いのだ。

…そんな訳で、今回のレース、堂々の一位は。

「おめでとう、ルレイア先輩」

「さすがルレイア。格好良い…!」

「うふふ、ありがとうございます」

優勝は、掻っ攫わせてもらいましたよ。

このメンバーで勝負して勝てたとなると、何だか鼻が高い。

「お前、海で泳ぐの初めてじゃなかったのか?」

と、ルルシーが尋ねた。

そんなに経験がある訳ではないが…。

「帝国騎士官学校時代に、課外授業の一環で、遠泳に行ったことがあるんですよ」

「あ…。そうだったのか…」

帝国騎士官学校時代と聞いて、ルルシーの顔が曇った。

申し訳無さそうな、悪いことを聞いてしまったような…そんな顔である。

別に気にしなくて良いのだが。ルルシーは優しいから。

「ともかく、ルレイア。優勝おめでとう」

暗い空気になりかけたところを、アイズが巧みに引き戻した。

「アリューシャ、ほら。さっき集めてたアレ、優勝商品代わりにルレイアにあげたら?」

「おぉ、良いぜ!持ってけドロボー!」

泥棒ではないですけどね。

それで、アリューシャがさっき集めていたアレとは…?

「ほらよ!」

「ありがとうございます」

アリューシャが手渡してくれたのは、太陽の日差しにキラキラ光る貝殻だった。

成程、そう来たか。