アシュトーリアさんの命を脅かして、得をする者は大勢いるだろう。

だから、彼女の命を狙った連中を特定することは難しい。そう思っていた。

だが、まさか連中が自分達の方からやって来るとはな。

成程、こいつらは…アシュトーリアさんが死んだとして、恐らく最も喜ぶであろう連中だ。 

「…あなた方は…。サナリ派の…」

これには、アイズも苦い顔で呟いていた。

そう。そういうことですよ、アイズ。

一連の事件は、全てこいつらの手引きなのだろう。

『M.T.S社』のリーダー達を匿っているのも、レーザー銃の開発や売買を主導しているのも。

全ては今日、このときの為。

さも、アシュトーリアさんが危篤と聞いて急いでやって来たように見せかけながら。

本当は、始めから知っていた癖に。

全く白々しいにも程がある。

…それでも。

「…ようこそいらっしゃいました」

「会合に応じてもらえますね?」

「勿論です。…すぐに幹部を全員招集します。どうぞ、こちらでお待ち下さい」

アイズは、その不埒な「訪問客」を丁重に迎えなければならなかった。

それが、『青薔薇連合会』次期首領である彼の役目だった。

しかし…その内心が穏やかでないのは、聞くまでもなかった。

俺だって腸煮え繰り返ってるのに。

俺以上にアシュトーリアさんを慕う、アイズの心境は如何程か。
 
「…あいつらだな。あいつらが…アシュトーリアさんを…」

ルルシーも、奴らの傲慢な態度を見てすぐに気づいたらしい。

アシュトーリアさん暗殺未遂事件の犯人が誰なのかを。

本当なら、今すぐにでも拳銃の引き金を引きたいところだろう。

俺だって同じだ。出来ることなら、今すぐ腹立つ連中の首を、死神の鎌で刈り取ってやりたい。

…が、そうは行かない。

だって彼らは…『青薔薇連合会』サナリ派の筆頭。

恐らく『青薔薇連合会』において、俺達幹部組と同等の発言権を持つ者達だからだ。