―――――…一方その頃、帝国自警団では。

「えっ…!『青薔薇連合会』の首領が襲撃された…!?」

セルニアからそのニュースを聞かされ、私は思わず狼狽えてしまった。

…次から次へと…。

「あぁ…。そうらしい。今入ってきた報告だ」

「そんな…」

私は、『青薔薇連合会』の首領についてほとんど知らない。

『青薔薇連合会』と言えばルレイア・ティシェリー卿のイメージの方が強くて…。

だけど…冷静に考えたら、きっとかなりの器の持ち主に違いない。

だって、あのルレイア卿の上司なのだから。

並みの度量じゃ務まらないはずだよ。

そんな人が襲われるなんて…。

「一体誰がそんなことを…?」

「さすがに…そこまでは分からない。襲われたリーダーの容態もまだ…」

「…そうか…」

まだ、ルルシー卿を襲った自警団員が何者かも分かってないのに。

更にそれに加えて、今度は『青薔薇連合会』の首領が…。

もしかして…ルルシー卿を襲った者と同一人物…?

まさか…いや、でも有り得ない話ではない。

『青薔薇連合会』の屋台骨とも呼べる人をどうにかすれば、難攻不落の『青薔薇連合会』と言えども、隙が生まれる。

その隙に付け入って、何かを企んでいるのかも…。

…分からない。

「『青薔薇連合会』に動きは…?」

彼らのことだ。間違いなく…報復に向けて動き出すだろう。

万が一、罪のない人々が巻き込まれるようなことがあれば…。

帝国自警団とて、無関係ではいられない。

帝国騎士団もそれは同じなはずだが、彼らは今どうしているんだろう?

互いに不干渉の原則がある以上、私達の方から帝国騎士団に口を出すつもりはないが…。

恐らく帝国騎士団も、今頃このニュースを耳にしているだろう。

呑気にはしていられないだろう。きっと、それなりの対策を考えているはずだ。

「大きな動きはまだ見られない。恐らく、しばらくはこの情報を隠しておきたいんじゃないかな」

「…」

頭目が襲われたのだ。『青薔薇連合会』に走る衝撃は、私達のそれとは比較にならないだろう。

『青薔薇連合会』も、今ばかりは慎重に動く必要がありそうだ。

…不穏な出来事が多過ぎるよ。

『M.T.S社』のリーダーの件だって、まだ解決してないのに。

「…どうもきな臭いな。大事にならなければ良いんだけど…」

儚い望みになりそうだ。