The previous night of the world revolution7~P.D.~

「こうなったら、ルーチェス君もぽっちゃりにしてやる!はい!これどうぞ」

セカイさんが、未開封のハンバーガーを一つ押し付けてきた。

「美味しいよ、これ。秋限定お月見バーガー」

そんなのあるんですか?

でも…。

「これ、セカイさんが食べる用に買ってきたんじゃないんですか」

「そうだけど。でもルーチェス君に見られちゃったから。ルーチェス君にあげる」

「別に良いですよ、セカイさんが食べても。僕は自分で適当に作りますから」

「まぁまぁそう言わず、食べなさい。お姉ちゃんをぶくぶく太らせるつもりか?」

…そうですか。

じゃあ、お言葉に甘えて…。

人生初、ファーストフード店のハンバーガー。

ハンバーガー自体は食べたことあるんですけどね。ファーストフードのハンバーガーは初めてですね。

包み紙を開けてみると、むわっとジャンクな香りが漂う。

成程、興味深いですね。

お月見って言うから、生卵が挟んであるのかと思ったらそんなことはなく。

普通に卵焼きが挟んであるだけだった。

卵を入れただけで、何でもかんでも「月見」と称するのは良くないと思うんですが。

それはともかく、いざ実食。

「どうどう?美味しいでしょ?」

「ふむ。美味しいですね」

「でしょー!」

何故セカイさんが嬉しそうなのか。

成程、これはなかなかイケますね。

今が非常であることを、思わず忘れてしまいそうになる。

まぁ僕が騒いだところで、何か変わる訳もなし。 

あの人なら、自分に何か起きたときのことは常に想定していたでしょう。

お前は一番新参で、アシュトーリアさんへの情が薄いからそんなことが言えるんだ、と言われたらそれまでだが。

それでも僕は、長年に渡りルティス帝国を治め、そして汚職事件が発覚してあっという間に隠居の身に追い込まれた、姉の姿を見ている。

いくら安泰に見える治世でも、ああいう不測の事態は起きる。

まぁ、姉の場合は自業自得以外の何物でもないのだが。

『青薔薇連合会』は盤石だ。この盤石の体制を崩すには、頭を潰すしかないと踏んだのだろう。

間違ってはいない。

だが、同時にアシュトーリアさんを襲った「敵」は、分かっているはずだ。

長を傷つけられた群れが、どれほど怒りに燃え、復讐の牙を研いでいるかということを。

「…もぐもぐ。ごくん」

「ルーチェス君、ポテトも要る?ナゲットもあるよ」

と、あれこれ勧めてくるセカイさん。

それは嬉しいんですけど、でもその前に言いたいことが一つある。

「…ねぇ、セカイお姉ちゃん」

「何だい、弟君よ」

「このハンバーガーを3つは、さすがに食べ過ぎだと思います」

「うわぁぁぁん!分かってるよ馬鹿ぁぁ!」

このままだと、ぽっちゃりお姉ちゃん間違いなしですね。

それはそれで美味しそうだから良し。