―――――…一方、その頃。
アンブローシア宅では。
「ただいまー、セカイさん」
「むごーっ!?」
「…?」
家に帰ってきたら、セカイさんが盛大に噎せていた。
どうやらセカイさん、お食事中だったようだ。
テーブルの上に、飲みかけのジュースと食べかけの…。
…?食べかけの…食べ物が置いてあった。
部屋の中に何だか…脂っこい匂いが充満している。
「…大丈夫ですか?」
「げほっ、ごほっ、ごほっ…は、はぁはぁ」
セカイさんは手を伸ばして、ストローの突き刺さったジュースを、ちゅー、と飲んだ。
そして一言。
「も、もー!びっくりさせないでよ!」
「あ、済みません…」
そんなにびっくりするとは思わなかった。家に帰ってきただけで。
「って言うかルーチェス君、今夜は遅くなるって言ってたじゃん!どうしたの?デートの予定は…」
「あぁ、それなんですけどちょっと、不慮の事故が起きまして…」
本当はルルシーさんの退院祝いパーティーを開く予定だったから、今夜の帰りは遅くなるとセカイさんに連絡していたのだ。
でも…例によって、パーティーどころじゃなくなってしまったので。
仕方なく帰ってきたんですけど…。
「不慮の事故…?って何…はっ!」
は?
「どうしたのルーチェス君。ほっぺ青くなってるよ」
セカイさんが、腫れ上がった僕の頬に触れた。
いたたたた。触られるとまだ痛いです。
言わずもがな、さっきシュノさんにぶん殴られた場所だ。
「これは男女関係の縺れです」
「あぁ、成程!今夜デートの予定だった相手にひっぱたかれたんたね?よしよし、可哀想に」
セカイさんが、よしよしと僕の頭を撫でてくれた。
妙な誤解を生んでしまったようだが…。
でも、セカイさんによしよしされるのが嬉しいから、そういうことにしておこう。
まさか組織のリーダーが暗殺されて、今死にかけてるんですよとは言えないし。
「代わりと言ってはなんだけど、セカイお姉ちゃんがデートに付き合ってあげるよ」
「ありがとうございます。それは助かる…んですけど」
「ん?」
さっきから、ずっと気になっていることがある。
僕は、大小様々な紙袋が散乱したテーブルの上に指差した。
「…何なんですか?これ」
「…」
セカイお姉ちゃんは、僕の指差したテーブルの上をじっと見つめ。
そして、食べかけのものを全て、抱き抱えるようにして隠した。
「…ルーチェス君は何も見なかった。良いね?」
「いや、ばっちり見ましたよ。これ何ですか?もしかして、これが噂に聞く…」
「何も見なかったってことにしなさい!」
「いたたた。今ほっぺた痛いんですよ。抓らないでください」
何も見なかったことにして、と言われても。
もうばっちり見てしまったんだから、今更見なかったことには出来ませんよ。
アンブローシア宅では。
「ただいまー、セカイさん」
「むごーっ!?」
「…?」
家に帰ってきたら、セカイさんが盛大に噎せていた。
どうやらセカイさん、お食事中だったようだ。
テーブルの上に、飲みかけのジュースと食べかけの…。
…?食べかけの…食べ物が置いてあった。
部屋の中に何だか…脂っこい匂いが充満している。
「…大丈夫ですか?」
「げほっ、ごほっ、ごほっ…は、はぁはぁ」
セカイさんは手を伸ばして、ストローの突き刺さったジュースを、ちゅー、と飲んだ。
そして一言。
「も、もー!びっくりさせないでよ!」
「あ、済みません…」
そんなにびっくりするとは思わなかった。家に帰ってきただけで。
「って言うかルーチェス君、今夜は遅くなるって言ってたじゃん!どうしたの?デートの予定は…」
「あぁ、それなんですけどちょっと、不慮の事故が起きまして…」
本当はルルシーさんの退院祝いパーティーを開く予定だったから、今夜の帰りは遅くなるとセカイさんに連絡していたのだ。
でも…例によって、パーティーどころじゃなくなってしまったので。
仕方なく帰ってきたんですけど…。
「不慮の事故…?って何…はっ!」
は?
「どうしたのルーチェス君。ほっぺ青くなってるよ」
セカイさんが、腫れ上がった僕の頬に触れた。
いたたたた。触られるとまだ痛いです。
言わずもがな、さっきシュノさんにぶん殴られた場所だ。
「これは男女関係の縺れです」
「あぁ、成程!今夜デートの予定だった相手にひっぱたかれたんたね?よしよし、可哀想に」
セカイさんが、よしよしと僕の頭を撫でてくれた。
妙な誤解を生んでしまったようだが…。
でも、セカイさんによしよしされるのが嬉しいから、そういうことにしておこう。
まさか組織のリーダーが暗殺されて、今死にかけてるんですよとは言えないし。
「代わりと言ってはなんだけど、セカイお姉ちゃんがデートに付き合ってあげるよ」
「ありがとうございます。それは助かる…んですけど」
「ん?」
さっきから、ずっと気になっていることがある。
僕は、大小様々な紙袋が散乱したテーブルの上に指差した。
「…何なんですか?これ」
「…」
セカイお姉ちゃんは、僕の指差したテーブルの上をじっと見つめ。
そして、食べかけのものを全て、抱き抱えるようにして隠した。
「…ルーチェス君は何も見なかった。良いね?」
「いや、ばっちり見ましたよ。これ何ですか?もしかして、これが噂に聞く…」
「何も見なかったってことにしなさい!」
「いたたた。今ほっぺた痛いんですよ。抓らないでください」
何も見なかったことにして、と言われても。
もうばっちり見てしまったんだから、今更見なかったことには出来ませんよ。


