The previous night of the world revolution7~P.D.~

「…済まないな、ルルシー先輩。こんな話を聞かせて」

と、ルリシヤはルルシーの方を向いて言った。

「え?」

「ルルシー先輩は『青薔薇連合会』の古参組だ。俺やルレイア先輩よりも、アシュトーリアさんとの思い出は濃いだろう」

「…」

俺が『青薔薇連合会』に入るずっと前から、ルルシーはアシュトーリアさんのもとで働いていた訳で。

アイズやシュノさんほどでなくても、アシュトーリアさんとの思い出は濃く、深いはずだ。

もし彼女の命が失われることがあったらどうするか…なんて、こんな話を聞きたくはないだろう。

…しかし。

「…確かに、あの人には色々な恩がある。思い出もある…けど」

「けど?」

「お前達より、俺の方がずっと薄情だし、恩知らずだよ」

…ほう。

「そう言うところの根拠は?」

「我ながら醜いことを考えてると思う。だけど俺は…アシュトーリアさんが襲撃されたと聞いて、まず一番に思ったんだ。『ルレイアじゃなくて良かった』って」

…あぁ、そういうこと。

それは…同感ですね。

成程、俺達薄情だな。

「こうなったのがルレイアだったら、俺は多分…今頃こんなに落ち着いていられなかっただろうから」

呑気にかぼちゃシチュー食べてる余裕もなかったでしょうね。

「アシュトーリアさんならきっと、いつ自分にもしものことが起きても困らないように、根回しはしているはずだ」

「…」

「だからいつ死んでも良いとは言わないよ。俺だってまだ…アシュトーリアさんの『青薔薇連合会』で働いていたい」

…俺もです。

引退するにはまだ早いですよ。

アイズの能力を疑っている訳ではないが、俺達はまだアイズのことを首領と呼ぶ覚悟が出来ていない。

「アシュトーリアさんをこんな目に遭わせた奴を、絶対に許さない」

「…大丈夫ですよ、ルルシー」

それは皆同じ気持ちですから。

「いずれにせよ、組織のトップに手を出されて、黙っている訳にはいきません」

何処の誰がやったのかは知らないが。

『青薔薇連合会』の首領に手を出してくれたのだ。痛烈な「仕返し」が待っていることは…当然分かっているだろうな?

「俺達に出来るのは、彼女の仇を討つこと…そして、アシュトーリアさんの帰還を信じて待ち続けることです」

アシュトーリアさんが元気になって戻ってくるとき、彼女の居場所を守る為に。