The previous night of the world revolution7~P.D.~

…更に。

「…アシュトーリアさんが死んだらすげー嫌だけどさ。でもアシュトーリアさんは多分、こういうときのことも覚悟してるよな」

これまでずっと沈黙を守っていたアリューシャが、廊下の丸椅子に座りながらそう言った。

アリューシャもアリューシャなりに、自分の中で状況を理解しようと努力しているようだ。

「それにアリューシャ達がこうして仲間割れしてたら、アシュトーリアさんは悲しむぞ」

「…そうでしょうね」

俺だって、自分が怪我して寝込んでいる間に、こうして仲間達が揉めているのを見たら。

「俺の為に争わないで!」と言いたくなるだろうからな。

むしろこんなときだからこそ、一致団結して事の解決に臨んで欲しい。

「こうして幹部組の動揺と分裂を誘うのも、敵の策の一つだろう」

と、ルリシヤ。

アシュトーリアさんと幹部組の「仲が良い」ことは、『青薔薇連合会』の事情に通じていれば、誰もが知っているだろうからな。

「考えたくないのは同感だが、ルーチェス後輩の言う通り…万が一のことも考えなければなるまい」

「…そうですね」

アシュトーリアさんもきっと、俺達がそうあることを望んでいるはずだ。

そう信じるしかない。

「…お前はどう思う、アイズ」

ルルシーが、アイズに尋ねた。

アイズもまた、ずっと沈黙を守っていた。

恐らくこの中で最も動揺しているに違いないが、それでも最も冷静に振る舞わなければならない彼の胸の内を。

俺には、憶測することしか出来なかった。

下手な慰めや楽観論は、アイズには通じない。

正直、俺も何を言って良いのか分からなかった。

そして何を言っても、本当の意味でアイズを励ますことは出来ないだろう。

「…そうだね」

アイズは静かな声で、俺達の方を向いた。