「わ、私は違うもの。これまで長い間、ずっとアシュトーリアさんと一緒にいたのよ。あなたと違って、簡単に受け入れられる訳、」
「はい、そこまでですシュノさん」
これ以上は良くない。いくらなんでも。
俺はシュノさんの後ろから彼女を抱き締め、両手でそっと口を塞いだ。
それ以上は駄目ですよ。
「も、もごもごっ…」
シュノさんは抵抗しようとしたが、俺はそれを許さなかった。
ちょっと落ち着いた方が良い。
「駄目ですよ、シュノさん…。自分が何を言ってるのか分かってます?」
俺がそう問いかけると、シュノさんはようやく我に返ったらしい。
ハッとして、そして…身体から力が抜けた。
がくんと倒れそうになるシュノさんを、今度は俺が支えた。
どうやら、自分が何を口走ったのか理解したらしい。
「幹部に就任した時期は関係ない。そうでしょう?じゃあ、シュノさんより幹部になって日が浅い俺も薄情なんでしょうね。ルリシヤもそうですか?」
「…ううん」
シュノさんは涙を滲ませて、首を横に振った。
そうですよね。
「ルーチェスはここにいる誰より…上に立つ者としての責任を知っているんです」
「…」
「アシュトーリアさんを心配していない訳じゃない。ここにいる皆がそうです。皆彼女の身を案じている。…シュノさんと同じように」
程度の差こそあれど、アシュトーリアさんを心配しているのは皆同じ。
冷静に振る舞っているように見えて、内心穏やかではないのだ。
シュノさんのように、周囲に当たり散らせるものならそうしたいと思っている者もいるだろう。
だけど…そうやって組織の中に混乱を招くことこそ、アシュトーリアさんを襲った者の目的。
このままじゃ俺達は、敵の手の内で踊らされるだけなのだ。
「俺達が今ここで仲違いしたって、何の得にもなりません。むしろこんなときだからこそ、幹部である俺達が団結して、皆を率いなければならないんじゃないですか」
「…うん…」
ようやくシュノさんも、少し冷静になってくれたようだ。
シュノさんは、俺の手を支えに立ち上がった。
「さぁ、シュノさん。ルーチェスに言うことがあるでしょう?」
「うん…。…ごめんなさい、ルーチェス」
ぺこりと頭を下げて、シュノさんはルーチェスに謝った。
誰より悲しみに敏感なシュノさんだが、それだけに彼女は素直である。
「私、あなたに酷いことを…」
「いいえ、大丈夫ですよ。僕の方こそ、無神経なことを言って済みませんでした」
ルーチェスもルーチェスで、根に持つタイプではない。
「でも…あなたの言ってることの方が正しいわ」
「正しいからって、受け入れられるかどうかは別の話ですから。傷つけてしまって申し訳ないです」
「私の方こそ…。…その、殴っちゃって…」
咄嗟に手が出たのは自覚していたらしい。
そりゃそうか。ルーチェスの口元に血が滲んでるし。
「大丈夫ですよ、これくらい。セカイさん…僕の奥さんには、男女関係の縺れだと説明しますから」
間違っているような気もするが、しかし間違ってはいない。
まぁルーチェス嫁なら、このくらい軽く流してくれるだろう。
「はい、そこまでですシュノさん」
これ以上は良くない。いくらなんでも。
俺はシュノさんの後ろから彼女を抱き締め、両手でそっと口を塞いだ。
それ以上は駄目ですよ。
「も、もごもごっ…」
シュノさんは抵抗しようとしたが、俺はそれを許さなかった。
ちょっと落ち着いた方が良い。
「駄目ですよ、シュノさん…。自分が何を言ってるのか分かってます?」
俺がそう問いかけると、シュノさんはようやく我に返ったらしい。
ハッとして、そして…身体から力が抜けた。
がくんと倒れそうになるシュノさんを、今度は俺が支えた。
どうやら、自分が何を口走ったのか理解したらしい。
「幹部に就任した時期は関係ない。そうでしょう?じゃあ、シュノさんより幹部になって日が浅い俺も薄情なんでしょうね。ルリシヤもそうですか?」
「…ううん」
シュノさんは涙を滲ませて、首を横に振った。
そうですよね。
「ルーチェスはここにいる誰より…上に立つ者としての責任を知っているんです」
「…」
「アシュトーリアさんを心配していない訳じゃない。ここにいる皆がそうです。皆彼女の身を案じている。…シュノさんと同じように」
程度の差こそあれど、アシュトーリアさんを心配しているのは皆同じ。
冷静に振る舞っているように見えて、内心穏やかではないのだ。
シュノさんのように、周囲に当たり散らせるものならそうしたいと思っている者もいるだろう。
だけど…そうやって組織の中に混乱を招くことこそ、アシュトーリアさんを襲った者の目的。
このままじゃ俺達は、敵の手の内で踊らされるだけなのだ。
「俺達が今ここで仲違いしたって、何の得にもなりません。むしろこんなときだからこそ、幹部である俺達が団結して、皆を率いなければならないんじゃないですか」
「…うん…」
ようやくシュノさんも、少し冷静になってくれたようだ。
シュノさんは、俺の手を支えに立ち上がった。
「さぁ、シュノさん。ルーチェスに言うことがあるでしょう?」
「うん…。…ごめんなさい、ルーチェス」
ぺこりと頭を下げて、シュノさんはルーチェスに謝った。
誰より悲しみに敏感なシュノさんだが、それだけに彼女は素直である。
「私、あなたに酷いことを…」
「いいえ、大丈夫ですよ。僕の方こそ、無神経なことを言って済みませんでした」
ルーチェスもルーチェスで、根に持つタイプではない。
「でも…あなたの言ってることの方が正しいわ」
「正しいからって、受け入れられるかどうかは別の話ですから。傷つけてしまって申し訳ないです」
「私の方こそ…。…その、殴っちゃって…」
咄嗟に手が出たのは自覚していたらしい。
そりゃそうか。ルーチェスの口元に血が滲んでるし。
「大丈夫ですよ、これくらい。セカイさん…僕の奥さんには、男女関係の縺れだと説明しますから」
間違っているような気もするが、しかし間違ってはいない。
まぁルーチェス嫁なら、このくらい軽く流してくれるだろう。


