The previous night of the world revolution7~P.D.~

お前はこんなときくらい、素直にアシュトーリアさんの心配を出来ないのか、と言われたら、言い返す言葉もない。

だが『青薔薇連合会』の幹部としては、そういう打算や損得勘定を抜きにして考えることは出来ないのだ。

仲良し同好会じゃないからな。『青薔薇連合会』は。

これで飯食ってる奴が大勢いる訳で、そいつらの生活を保証しなければならない。

『青薔薇連合会』首領、アシュトーリア・ヴァルレンシーの身に、「万が一」のことがあれば。

これまでずっと盤石だった『青薔薇連合会』の基盤が揺らぐことになる。

何せ、組織のトップかいなくなるのだから。それも当然だ。

ベルガモット王家のアルティシア女王が死ねば、ルティス帝国の民は激しく動揺するだろう?それと同じだ。

いや、俺はアルティシアが死んだところで、全く動揺しないけど。

しかも…暗殺という殺され方は、非常に良くない。

病死や老衰で亡くなるのなら、死ぬ前にある程度覚悟や準備が出来る。

終活とでも言うのか。死んだ後の準備をしてから死ねる。

しかし、アシュトーリアさんは病気でもないし、老衰でもない。

不慮の事故に遭った訳でもない。

よりにもよって…何者かに突然襲撃された。

「あの『青薔薇連合会』の首領が、何者かに暗殺されて死んだ」などという情報が、他の非合法組織に知られてみろ。

『青薔薇連合会』と敵対する全ての組織は、諸手を挙げて喜ぶはずだ。

それは『青薔薇連合会』にとって恥ずべき汚点であり、他人に付け入られる弱みとなる。

これが非常に宜しくない。

幸いにも命を取り留めたとしても…「みすみす暗殺されかけた」という情報が漏れれば、それも弱みとなる。

『青薔薇連合会』の、ルティス帝国裏社会における立場が揺らぐ。

マフィアとは面子の組織なのだ。組織の頭目に何かあったと知られれば、その面子、面目は丸潰れ。

アシュトーリアさん一人の命だけでは済まない可能性だってあるのだ。