The previous night of the world revolution7~P.D.~

「シュノさん、泣くにはまだ早いですよ。希望を捨ててはいけません」

俺はシュノさんを支えるようにして、彼女に励ましの言葉を投げかけた。

まずは、シュノさんを立ち直らせないと。

俺とても、アシュトーリアさんの身に…そのようなことが起きたと聞かされて、内心では穏やかではない。

が、厳しい言い方をするようだが…俺達は『青薔薇連合会』の幹部である。

『青薔薇連合会』は、ルティス帝国最大のマフィアだ。

そしてアシュトーリアさんは、その『青薔薇連合会』の首領。

マフィアのボスともなれば、暗殺や…「不慮の事故」と無関係ではいられない。

その可能性、危険性はいつだって孕んでいる。

いつかそういうことが起きるかもしれない。起きたとしても不思議ではない…という。

最低限の覚悟くらいは、していた。一応な。

いつ何時、何が起こるか分からないのが人生ってもんだからな。

俺はそのことをよく知っている。

「アシュトーリアさんは、今何処に?病院ですか」

「皮肉なことに…ルルシーが今朝までいた病院だよ。…すぐに行こう」

「分かりました」

…こんな形で、病院に出戻りとは。

これだから運命の悪戯って奴は。

「さぁ、シュノさん。一緒に行きましょう」

俺はシュノさんに手を差し伸べた。

「…うん…」

ふらふらしながらも、シュノさんはかろうじて、俺の支えを頼りに立ち上がった。

そう。まだ倒れるのは早いですよ。

これでもまだ…「最悪の事態」にまでは発展していない。

最悪の事態っていうのが何か、って?

決まっているだろう?

ルルシーの退院祝いパーティーの予定が、アシュトーリアさんのお葬式に変わることだよ。

それだけは、何としても回避したかった。