The previous night of the world revolution7~P.D.~

「電話してみたらどうです?」

「そう思って、さっきかけてみたんだけど…通じないんだよね」

…それはますますおかしいですね。

「シュノ、君からもかけてみてもらえる?」

「うん、分かった」

アイズに頼まれ、シュノさんもスマホを取り出して電話をかけてみる。

アシュトーリアさんの愛娘とも呼ぶべき、シュノさんからの電話を無視するはずがないが…。

…しかし。

「…駄目。出てくれない…」

シュノさんからの電話にも出ない。

アイズからも、シュノさんからも駄目となると。

俺やルルシーがかけたって、絶対出てもらえないな。

「急いでこっちに向かってんじゃねーの?」
 
「何か緊急の仕事が入ったとか?」

「…そんな話は聞いてないんだけどな。ドタキャンするにしても、連絡がないなんて…」

…アシュトーリアさんは、今夜俺達が退院祝いパーティーを開くことを知っている訳で。

もし緊急に用事が出来たのだとしても、それならそうと連絡を入れるはずだ。

それなのに、何もないとなると…。

…。

…妙に、嫌な予感がしますね。

俺の嫌な予感って的中率100%なんで、これは非常に良くない流れだ。

ましてや、アイズにサナリ派のことを聞かされた直後ともなると、余計に…。

…そのときだった。

「…あ、鳴った」

アイズのスマホに、着信が入った。

アイズは着信音デフォルトなんですね。『frontier』の曲に変更しても良いんですよ。

「誰?アシュトーリアさん?」

「…いや…私の部下だね」

「なーんだ」

と、アリューシャは口を尖らせたが。

俺の予感が正しければ、その電話は…。

俺達のお祭り気分を、一瞬にして台無しにする一報であるはずだ。

「もしもし。どうかした?」

アイズは俺達の前で電話に出た。
 
そして。

部下から何かを告げられたのだろう。一瞬にしてアイズの顔色が変わった。

「…分かった。すぐ行く」

そう言って、アイズは素早く通話を終えた。

早かったですね。

…どうやら、余程の難事件が起きたようですね?